2009.12.27

有馬記念、アナログけいば的な結論

木曜日からダラダラとやってきた有馬記念の検討ですが、今日はいよいよレース当日なので結論を出したいと思います。

今年の有馬記念は展開を予想するのが例年に増して難しいのですが、厳しい流れになろうがスローな流れになろうが前が残りやすいというのは傾向からも明らかで、差し馬はコーナーで仕掛けられるタイプでないと間に合わないことになります。私はこれまでの検討結果を基に、「思ったよりもペースは早くならなかったが、結果としてスタミナが問われる消耗戦」というレース形態を想定して、各馬がそれに合致するかどうかで取捨を決めることにしました。

なお直前の状態の判断については、いつも参考にしている競馬エイトの調教評価などを基に検討しています。文中ではあまり触れていませんが、印には少し反映しています。

1.アンライバルド ×
近走は振るわないものの中山実績は十分で、かつコーナーで脚が使える馬でもあります。乱ペースならアタマまであっても不思議はないと思いますが、今回はこの枠もあるので少し乗り難しい感はあります。テン乗りのデムーロ騎手があっと言わせる可能性は否定できないので、ヒモとして拾います。

2.ブエナビスタ 無
この馬の取捨に頭を悩ませる人も多いと思いますが、私はバッサリ切ります。元々直線一気の末脚勝負が身上で、長くいい脚を使えるのが最大の長所ですがコーナーで小脚が使えるタイプではないと思います。枠と鞍上の兼ね合いから先行するという可能性もありますが、そうなると逆に持ち味の末脚が削がれる気がしています。初コースの中山はこの馬にはもっともフィットしないと思います。

3.ミヤビランベリ ○
思ったよりも流れが落ち着いて先行勢が早めにスパートして、という絵を描いたときに一番残り目のありそうな馬で、有馬記念特有の消耗戦には強いのではないかと考え、対抗に抜擢します。坂のあるコースを避けている傾向があるのが気にはなるものの、2500mの重賞で強さを発揮しているのが良いです。アタマまでとは言えませんが、2~3着なら十分有り得ると考えています。

4.マイネルキッツ △2
余裕のあるローテーション、底力が問われるスタミナ勝負、中山の実績、どれをとっても今回は良さそうなのでもう少し上の評価をしたいのですが、鞍上の乗り替わりがどうしても引っ掛かります。元々そんなに乗りやすい馬ではないという話もあるようなので、松岡騎手の騎乗停止は痛いですね。三浦騎手がどう捌くかが全てですが、順番をつけるとこの辺になってしまいました。

5.コスモバルク 無
6年連続出走ということですが、ここに顔を連ねているのが既にミラクルと思います。他の馬の邪魔をせずに回って来てください。

6.エアシェイディ ×
8歳とは言え衰えは感じないのですが、先行有利の流れを想定するとこの馬の居場所がどこになるのか、イメージがあまり沸かないのですね。それでも気がついたら3着に来てた、みたいな昨年のような結果も有り得るので、一応拾います。

7.マツリダゴッホ ◎
今年はこの馬で勝負します。各方面でも触れられているように、一昨年にこのレースを勝ったときとまったく同じ臨戦過程で、ジャパンカップをスキップしたのは好印象です。唯一の心配は馬が非常に行きたがるようになっている(天皇賞では抑えきれずに暴走気味に先行して結果ブービー負け)点ですが、前走でガス抜きが効いている方に賭けることにします。引退の花道を飾ってもらいましょう。

8.リーチザクラウン ×
恐らくはこの馬がハナを切るだろうと思いますからレース展開を握っている馬ではありますが、元々広いコースの方がレースがしやすいタイプだと思います。中山でコーナーを6つも回るというのはどうなのか…と疑っていますが、うまくいけばスイスイと最終コーナーまでは来られるかも知れません。距離が長過ぎると思われるので持たせられてもそこまでと思うのですが、3着ならあるかもというくらいの評価です。

9.ドリームジャーニー △1
本当はこの馬のような脚質の馬は全部切りたいと考えていたのですが、機械的にふるいにかけた場合にあらゆる要素を満たしている唯一の馬になってしまうというのが引っ掛かり、この評価ではありますが拾うことにしました。直線に向いたところで先頭から3、4馬身以内につけられていたら、もうこの馬のレースでしょう。

10.スリーロールス ▲
人馬共に中山が未知数という不安要素はあるものの、菊花賞の競馬ぶりとそのひとつ前(野分特別)は素直に評価したいと思います。本当に強い馬だった、という結論が出るとするなら、この馬のアタマということになるでしょう。スタートでうまく前に付けられれば流れに乗れると思うので、そこだけを注意してみておきたいと思います。

11.イコピコ 無
典型的な末脚爆発型という印象なので中山では手が出ないですし、ローテーションも不適です。この馬が介入する余地は無いように思います。

12.テイエムプリキュア 無
一応無印扱いなのですが、万が一の行った行ったを考えるなら残ってしまうかもという気持ちはあります。それだけエリザベス女王杯の内容はインパクトがありましたからね。この馬としては2000mではスピードが足らず、3000mではスタミナが足らないので、これくらいの距離がベストだと思います。3連馬券のヒモくらいには忍ばせておいてもよいかもしれません。

13.シャドウゲイト 無
さすがにこの臨戦過程で来られてしまうとどうしようもないです。ともかく無事に回ってきてくれれば。

14.セイウンワンダー △3
6番手という評価ではありますが、非常に不気味な存在です。距離適性が云々言われていましたが、この秋の競馬振りから見ても不問であることは証明されています。父グラスワンダーはこのレースを連覇していますが、短い距離でも実績がありました。同じようなタイプと考えれば、得意と思われる中山で力を発揮する可能性は十分です。唯一の不安材料は乗り替わりで、藤田騎手がどう乗るかがすべてだと思います。

15.ネヴァブション ×
中山2500mの適性や実績ではメンバー中でも上位です。近走が振るわないだけにここでいきなり通用するかといわれると疑問を持ちたくなるのですが、こういう底力タイプの馬はヒョッコリと好走して穴を出すので、ヒモで拾います。

16.フォゲッタブル 無
思ったよりも人気を背負っている気がしますが、自信を持って消します。G1以外からの臨戦の馬は苦戦する傾向がある上に、ステイヤーズステークスからの参戦はイコピコと並んで最も狭い間隔のローテーションで、3600mを使った後の消耗度合いが気になります。大外枠もマイナスで、ジョッキーがコロコロ乗り替わっているのもいただけません。血統背景もあって人気が集まるのでしょうが、個人的にはこれ幸いという感じです。ただし状態は良いらしいのですが…。

整理するとこうなります。

◎マツリダゴッホ
○ミヤビランベリ
▲スリーロールス
△ドリームジャーニー、マイネルキッツ、セイウンワンダー
×エアシェイディ、リーチザクラウン、アンライバルド、ネヴァブション

いっぱい印を回してしまいましたが、人気上位から2頭(ブエナビスタ、フォゲッタブル)を消していますので、これなら今年最後の夢は見られるんじゃないかなと思っています。

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2009.12.26

有馬記念、適性とローテーションの考察

有馬記念集中検討も3日目になりました。今年は突出した馬がいないということもあって、非常に難しいですね。昨日は展開を予想しましたが、有馬記念は前半が落ち着いても途中からペースアップして厳しい展開になるという側面があります。しかしそれでも前が残る傾向だったりするので、普通の論理が当てはまりにくい特殊なレースだということは確かですね…。

今回は少しアバウトな内容になりますが、各馬の適性とローテーション、そして有馬では難しいといわれる騎手の乗り替わりについてクローズアップしてみようと思います。

順序が後先しますが、まずはローテーションを見てみます。3歳馬は菊花賞ないし天皇賞から直行した場合の方が、ジャパンカップを使った場合よりも好走しているというデータがあります。古馬は王道ローテーションで天皇賞→ジャパンカップというステップで普通に勝ち負けしてきた馬がもちろん有力なのですが、地力に劣るならジャパンカップを(意図したかどうかはともかく)スキップした方がよいという傾向があります。ちなみに前走でG1以外を使ってきた馬は非常に苦戦しており、やはりG1戦線を戦ってきた馬に分があるということのようです。

まずは大挙7頭が出走する3歳勢を確認してみます。菊花賞からの直行が3頭、ブエナビスタは牝馬でエリザベス女王杯から。間でレースを使ったのは、ジャパンカップを使ったリーチザクラウンとG1以外の重賞を使ったイコピコ、フォゲッタブル。前述の傾向に照らせば、菊花賞から直行する3頭が良いということになります。菊花賞で惨敗したアンライバルドの評価を下げるとすれば、スリーロールスとセイウンワンダーが理想的な好走ケースということになります。

古馬の方を見てみますと、王道ローテでジャパンカップを勝ち負けした馬はいません。強いて言えば5着に入ったエアシェイディくらいでしょうか。一方、好走パターンのひとつである天皇賞からの直行組がマツリダゴッホとドリームジャーニー。あとは牝馬のテイエムプリキュアがエリザベス女王杯からで、それ以外はG1以外からの参戦であるミヤビランベリとシャドウゲイトです。意外とジャパンカップで大きく負けた馬が多い構成なんですね。

一捻りしてジャパンカップからの参戦組でその前が天皇賞ではない馬をチェックしてみると、マイネルキッツが京都大賞典からのローテーションです。近年ではタップダンスシチーあたりがこのローテーションで好走しており、天皇賞をスキップするパターンも馬によっては悪くないかも知れません。

適性については深く掘るとキリがなくなりそうなので、中山適性だけをチェックします。中山のG1で連対実績があるのが内からアンライバルド、マツリダゴッホ、ドリームジャーニー、セイウンワンダー。リンクする傾向が強い日経賞で好走実績があるのが、マイネルキッツ、マツリダゴッホ、ネヴァブション。これ以外で中山の2000m以上の重賞に勝ち鞍があるのがエアシェイディとシャドウゲイト、そしてフォゲッタブル。コスモバルクも一応該当しますがちょっと古すぎますか…。

逆に中山実績がないのは、3歳勢からブエナビスタ、リーチザクラウン、スリーロールス、イコピコ。古馬ではミヤビランベリとテイエムプリキュア。3歳馬はキャリアが浅い分実績がない馬も多いので難しいですが、ミヤビランベリは意外な感じもしますね。敢えて直線に坂のあるコースを避けているようにも見えるのが少し気になります。

最後に騎手、特に乗り替わりについて確認します。前走から騎手が乗り替わる馬は内からアンライバルド、ブエナビスタ、マイネルキッツ、イコピコ、シャドウゲイト、セイウンワンダー、フォゲッタブル。しかもシャドウゲイト以外は全てテン乗りです。折り合いが最重要視され、乗り替わりでは難しいといわれる有馬記念なのですが、半数近くが乗り替わりという状況。騎乗停止や負傷など不測の事態というケースもありますが、安易な乗り替わりはこのレースに関して言えばあまり感心できないという印象で、アンライバルドやイコピコはちょっとマイナス評価ですかね。

データの羅列になってしまうので締め方が難しいのですが、とりあえず好走条件や実績に合致しそうな馬を抽出するとこのあたりが挙げられるということになります。

・マツリダゴッホ
・ドリームジャーニー

意外なほど少なくなってしまうのは乗り替わりが多いからに他ならないのですが、逆に言えば手の内に入れているジョッキーが跨るというのは明らかに有利ということになりますから、これらの馬に対して少し評価を上げる必要はあるでしょう。

なお、少し条件に欠ける部分があるものの、次点として挙げられそうなのは以下の馬たちです。この辺を評価するかどうかは、判断が難しいですが…。

・エアシェイディ(ローテーションが微妙)
・スリーロールス(中山は未知)
・セイウンワンダー(乗り替わりのみが課題)

明日はいよいよレース当日ということで、直前の状態をチェックした上で最終評価を決定します。

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2009.12.25

有馬記念の展開を考える

前回の更新では、思いがけず多くの方のアクセスをいただきました(通常時の約15倍)。やはり有馬記念への注目度というのは、他のどんなレースよりも勝るのだなと感じます。こんな場末のブログではありますが、そうやって訪れていただけた方に失礼のない様に心して記事を書いていきたいと思います。

そんな今日は、昨日の予告どおり展開について検討しようと思います。

最初にばっさりと断じてしまいますが、有馬記念は基本的に先行馬が圧倒的に有利なレースです。昨年はダイワスカーレットが驚異的な逃げ切り勝ちを演じ、追走した各馬がバテて追い込んだ馬が2、3着に飛び込むという極端な競馬になりましたが、本来であれば4コーナーで4~5番手以内につけられる馬が断然有利です。また、コース形状の関係から外を回すよりも内ラチ沿いを回る方が俄然楽になります。外差しの脚質の場合は、ディープインパクトのような突出した能力がない限りアタマまでは厳しいというのが傾向になります。

今回のメンバーを見渡すと、思ったよりも前に行きそうな馬が目立つ構成になりました。逃げ宣言も飛び出したリーチザクラウンをはじめ、マツリダゴッホやスリーロールスといったG1ホースや、前走で逃げを打って好走したミヤビランベリ、テイエムプリキュアあたりも先手をとりたい口でしょう。そうなると必然的に前半は早くなる…と合点したくなるところです。が、実際は気性の関係で逃げざるを得ないというリーチザクラウン以外は案外おさえの利く馬ばかりで、激しい先手争いというのは考えにくいのではないかと考えています。

恐らくハナに立つと目されるリーチザクラウンが近走で刻んだ入りの3ハロンのラップは、ジャパンカップで12.7-10.5-12.0、菊花賞で12.9-11.5-11.7。神戸新聞杯では12.6-10.8-12.1です。距離の長い菊花賞では必然的にペースが落ちますが、ジャパンカップと神戸新聞杯は大体同じ34秒台半ばということになります。ジャパンカップでは自分より内枠のアサクサキングスに競られて2ハロン目が早くなっていますが、すんなり出られればもう少し遅くなったかも知れません。今回はすぐ内にマツリダゴッホがいますがさすがにハナを主張することはないと思いますので、ミヤビランベリあたりが押して行かない限りはすんなりハナを取ってラチ沿いに入れるのではないかと思います。

リーチザクラウンが今までと同じような競馬をした場合、入りの2.5ハロンで29秒前後と近年のレースより1秒程度早いラップで入る可能性が考慮されます。しかしそれを制してハナに行こうという馬はいないという仮定で考えると、思ったよりも道中のペースは落ち着くのではないかと考えています。菊花賞の時と同様に、一時的に馬群から離れた単機逃げの形になるのではないでしょうか。そうなると、追走する2番手以下は1秒以上遅いラップを刻むことになり、近年の勝ちパターンに近いペースになります。

逃げたリーチザクラウンが残れるかどうかは折り合いひとつではありますが、リーチの逃げを見て後続が手綱を抑えてしまうと、意外なほどのスローペースになる可能性もあります。そうなると後方待機の馬はまったく出番がないかもしれません。前につけられるであろう、マツリダゴッホやスリーロールスには展開が向くのではないかと考えています。逆に後方待機パターンの馬、ドリームジャーニーやイコピコについては、どれだけうまく捌いて4コーナーで好意に取りつけるかが全てということになります。

鍵は1枠2番を引いたブエナビスタの出方だと思います。横山騎手への乗り替わりはいろいろな可能性を感じさせるので、予想が非常に難しくなりました。内のアンライバルドはお世辞にもスタートがいいタイプとは言えないので、すんなりと中段前目くらいの位置につけられるとは思いますが、問題は内ラチ沿いからスムーズに馬群を割れるか否かです。先行勢がひしめく中で内で溜めるような競馬をした場合、いざ追い出しても出るところがないというケースも考えられます。外へ出すと遅れますし、あらかじめ外を回すには先行策はとれません。恐らくいい位置をとりに行くと思うので、最後の坂下での位置取りが一番重要だと思われますが…果たしてどうなりますか。

結局モヤモヤっとした内容になってしまったのですが、結論付けるなら
・元々先行馬が有利なコースでありレースである
・前に行く馬は多そうに見えるが意外とペースは早くならないかも?
・直線入り口では馬群が凝縮しそうで、後方から外を回していたら間に合わない
・ブエナビスタはこの内枠が難題になりそう
というような感じでしょうか。

半分より内の枠で先行できる馬ということで、マツリダゴッホやミヤビランベリは前残り候補として挙げられると思います。菊花賞を先行して勝ち切ったスリーロールスも有力でしょう。リーチザクラウンは道中の息の入り方次第ですが、全幅の信頼というには…少し足らないでしょうか。ブエナビスタについてどう見るかは意見の分かれそうなところですが、この人気(前々日オッズで1番人気の3.6倍)ならコケる方に賭けたい気もしています。

前日となる明日は、各馬のローテーションや血統などの適性、および騎手のデータなどを参照してみたいと思います。

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2009.12.24

有馬記念の傾向と対策

3週間も更新をサボってしまいました。というのも、月の始めごろにひいた風邪が尾を引いて体調を崩しておりまして…のどのいがらっぽいのが少し残っていますが、ほぼ復調したので復活したいと思います。

サボっている間にジャパンカップダート、阪神ジュヴェナイルフィリーズ、朝日杯と3つのG1が過ぎ去っていきましたが、個人的には2勝1敗でした。ジャパンカップダートはヴァーミリアンと心中したので、負けてサバサバという感じでした。エスポワールシチーは強さには素直に脱帽ですし、ゴールデンチケットはどうやっても買えなかったのであっさり諦めもつきました。昨年まで3年連続的中と非常にゲンのいいレースだったのですが、連勝がストップしてしまいました。

逆に2歳戦は牡牝ともにほぼ完ぺきな予想で的中でした。牝馬の方は絞り込み条件は簡単で、芝の1600m以上で結果を出していない馬は要りません。9月開催以前からの鉄砲も基本的には割引きです。この条件で残った馬を摘むだけで、あっさり取れました。牡馬の方は同様に1600m以上の実績と、坂のあるコースでの競馬ぶりが重要。安定感のあるエイシンアポロンを軸にした3連複と3連単で、こちらも完ぺきに的中。惜しむらくはどちらも配当が低くて…、損失を補うには至らずでした。

煮え切らないままでいよいよ千秋楽の有馬記念を迎えますが、今日から当日までかけてじっくりと対策を検討したいと思います。今日はまず、近年の傾向を見てみることにします。

過去5年の有馬記念を振り返ると、5年連続で4歳馬が勝利しています。あのディープインパクトですら3歳時には2着に敗れたくらいですから4歳馬の優勢は揺るぎないようにも思うのですが、今年登録のある4歳馬(全32頭中7頭)は仮に出走できても勝ち負けは難しそうな顔触れ。ダービー馬ディープスカイが引退、菊花賞馬オウケンブルースリは劇走の疲れが抜けず休養と大駒が揃って離脱し、唯一登録のあるクラシックホースの皐月賞馬キャプテントゥーレは東京大賞典との両睨み。距離の適性を考慮して有馬記念は回避するのではないかといわれています。その他の馬はG1実績が乏しく、正直勝ち負け出来る馬はいないと思われます。

かわって大挙登録してきた3歳馬。特に例の「伝説の新馬戦」の上位4頭が揃って参戦するという点に注目が集まっています。過去の3歳馬の傾向としては、クラシック戦線、特にダービーや菊花賞できっちりと結果を出している馬が理想的で、重賞を勝ったばかりというような馬が突然劇走するケースは皆無です。既にG1を複数勝っている、或いは今後大成しそうな馬を狙うのが基本と言えると思います。ダービー2着馬がなぜか好走するというジンクス的なものもあるようです。

5歳以上の古馬も実績的に劣るというほどの大きなハンデはなく、近5年で7歳馬が2回連対しているように高齢馬の劇走も目立つレースです。中山2500mというトリッキーなコースだけに、コースに対する得手不得手がはっきり出る傾向があるのが特徴的で、一度好走した馬は翌年やその翌年にもう一度好走するという例が多く見られます。連覇したグラスワンダーやシンボリクリスエスはもちろんのこと、タップダンスシチーやマーベラスサンデーのように勝ち切れずとも連には絡むというケースもあります。

牝馬は基本的に苦戦する傾向がありますが、普通の牝馬の次元を超えている馬の場合は例外のようで、ヒシアマゾンやエアグルーヴ、ダイワスカーレットなど好走例は無くはないです。ブエナビスタがこれら名牝と呼ばれる馬に肩を並べられるかどうかは、注目したいところではあります。

簡単に要点をまとめますと、今年の傾向と対策としては
・圧倒的優位の4歳馬が手薄
・3歳馬はクラシックで好走している実績上位馬を狙う
・古馬はリピート率が高いため、有馬実績や中山実績を重視
・牝馬は超一流馬でないと通用しない
というような内容が挙げられるようです。

該当しそうなのは、3歳勢ではリーチザクラウンとスリーロールス。古馬だとマツリダゴッホ、ドリームジャーニー、エアシェイディ。あとはブエナビスタを超一流とするかどうか…というところでしょうか。結構絞れますね。

枠順は今日発表されますので、明日はそれを踏まえた展開予想をしてみたいと思います。

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2009.12.01

ウオッカはルメールだから勝った?

ジャパンカップはなかなか見応えのあるレースでした。結局2センチ差ですか。オウケンブルースリ陣営からすれば十分勝てたはずのレースを落としたという思いが強いかもしれませんが、これがウオッカの生まれ持った力なのかなと妙に納得してしまいました。自分の馬券はオウケンからエアシェイディとリーチザクラウンを相手にしていたので、軸とヒモは来たけど相手が来ずという外し方でした。まあ堅い決着だったので、これはこれで良しとします。

さて、このジャパンカップでレース前から物議を醸し、結果としてそれが明暗を分けた話があります。それはウオッカの鞍上。前走まで跨っていた武豊騎手に代わってフランスのルメール騎手が手綱を取り、見事な復活劇を演じました。一方の武豊騎手はリーチザクラウンで果敢な戦法に出ましたが、結果は9着。今回はこのあたりを考察したいと思います。今日はいつもに増して長文です。

ウオッカのデビュー2戦目から4歳初戦の京都記念まで、その手綱を取っていたのは四位騎手でした(ちなみにデビュー戦は佐賀の鮫島騎手)。四位騎手を背に阪神ジュベナイルフィリーズ、そしてダービーと2つのG1を手にしましたが、一方で同世代のライバルであるダイワスカーレットに後塵を拝することも多く、最優秀3歳牝馬のタイトルも奪われてしまいました。正直、3歳秋の競馬振りは当代のダービー馬としては物足りない内容だった感は否めません。

4歳春のドバイ遠征時に武豊騎手に交代していますが、名目上は「ドバイで一番結果を出している日本人騎手」への乗り替わりということでした。しかしこの四位騎手→武騎手の交代劇は、奇しくもウオッカの父であるタニノギムレットでもあった出来事であり、両馬のオーナーである谷水氏としてはどこか大義名分のあるタイミングで武豊騎手に交代させたかったのではないかと感じます。確かにギムレットの時は皐月賞の騎乗内容が非難を浴びたということもありますが、それ以上に「最高の馬に最高の騎手を」という思いがオーナーにはあったのではないでしょうか。

話は逸れますが、似たような事例にメイショウサムソンの例があります。デビュー以来一貫して石橋騎手が手綱を取っていましたが、4歳秋に武豊騎手に交代しています。この時も、欧州遠征(馬インフルエンザの影響により断念)に際して「経験のある騎手へ」というオーナーの意向による乗り替わりでしたが、その後引退するまでの間に勝ち鞍が天皇賞秋ただ1つだったにもかかわらず、石橋騎手に手が戻ったのは落馬負傷による代役騎乗が一度のみでした。石橋騎手とサムソンのコンビでは、3つのG1を含む重賞5勝を挙げています。

ウオッカに話を戻します。武豊騎手を鞍上に迎えて以降で乗り替わりがあったのは今回が3回目で、1回目は昨年の安田記念、2回目が昨年のジャパンカップです。その2回ともに岩田騎手が手綱を取り、安田記念は圧勝。ジャパンカップは3着でした。前者は武豊騎手に先約があったため、後者は落馬負傷で騎乗できなかったため、という明白な理由がありましたが、特に安田記念では岩田騎手の騎乗は称えられ、同時に武豊騎手(この時点でウオッカとのコンビでは未勝利)とのコンビネーションへの疑問や、同騎手の騎乗スタイルや衰えに対する言及があったと思います。

実は、ウオッカという馬の成績には割と明快な傾向があります。元々気性的に難しい面があってコンスタントにパフォーマンスを発揮できないタイプなのですが、不思議なことに休み明けから3走目のパフォーマンスが特に高いのです。逆にいえば、休養明けや4走目以降では成績を大きく落としているケースが目立ち、これは好調が持続できないことを示しているものと考えています。

戦績を振り返ると、3歳春はエルフィンステークスからチューリップ賞→桜花賞→ダービー→宝塚記念のローテーション。初戦が負担の軽い内容だったことを考慮すると、桜花賞からダービーにかけてが好調のピークということになります。それでも負けた桜花賞は、想像以上にダイワスカーレットが強かったこと、裏を返せば四位騎手に油断があったということだと推測します。3歳秋は休み明けの秋華賞で3着に敗れ、エ女王杯は取り消し。それでもジャパンカップでは歴戦の古馬相手に差の無い4着に駆けていますから、3走目がピークという理論はあてはまりそうです。どちらの例もそれ以降大きく着順を下げています。

4歳以降もほぼこのパターンに当てはまるのですが、例外だったのが4歳秋のジャパンカップです。この時は叩き2走目の天皇賞で歴史に残る劇走を見せましたが、3走目のジャパンカップでは伏兵スクリーンヒーローに足元をすくわれました。この時の鞍上は、先述のとおり岩田騎手。今年のジャパンカップを見た今となっては距離云々は要因とは言えないですから、これが前走の反動なのか騎乗スタイルの問題なのか、いずれにしても勝てるレースをフイにしたという見方が出来ると考えています。

今回のジャパンカップはこの秋3走目で、この馬にとって最もパフォーマンスを上げるタイミングでした。そこでルメール騎手に乗り替わって見事に勝利しましたが、これがルメール騎手の手柄で武豊騎手とは手が合わない、或いは武豊騎手はルメール騎手に劣る、という話になるのかどうかです。見方は様々でしょうが、ここまでの考察からすれば恐らく武豊騎手が騎乗していても勝っていたのではないか…個人的にはそう思えるのです。

ちなみに、じゃあ何故馬券はオウケンブルースリからだったのかということになるのですが、ジャパンカップの前までは私の中でのウオッカの評価は「スピードが秀でたマイラー」で、2400mへの距離延長でパフォーマンスを上げることはないと考えていたからです。しかし今回の結果を受けて考察し直した結果は…そんなことは無かったみたいですね。

管理する角居師は「掛かるイメージを持っていない騎手に」という理由での交代を明言していましたが、天皇賞秋のレース後のコメントからは明らかに武豊騎手の騎乗への不満が感じられました。結果として乗り替わりが功を奏した形になりましたが、これで谷水オーナーは満足だったのでしょうか。私には、どうもモヤモヤしたところが残る結果になったように思えてなりません。

先のメイショウサムソンの件にしてもそうですが、馬主の人たちはやはり「自分の馬に武豊を」という思いが強いのだと思います。調教師にはそれを制して別の騎手を乗せようとする人も多いのですが、それが適切な判断かどうかは見ている側では分かりません。ただ、素人目にも武豊騎手は「日本で一番絵になるジョッキー」です。彼を背にした実力馬が勝利する姿が、私は一番好きです。

そんな訳で、今週のジャパンカップダートではヴァーミリアンと武豊騎手を応援しようと思います。

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