G1を7勝でも必要とされない血
火曜日が休みだったせいか、今週は週末が来るのが随分早いように感じます。長年の習慣から「馬券を買う日=休日=週末」という潜在意識があるのだろうと思うので、火曜日にJBCの馬券を買ったというのも関係しているんでしょう。
もちろん地方競馬は週日にも開催されているのですが、普通の勤め人をやっている分にはなかなか馬券を買えないんですよね。ナイターの場合とかは大丈夫なんですが。
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先日のJBCにも出走していたブルーコンコルドが競走馬登録を抹消されたようです。地方交流レースばかりとはいえ、G1を7つも勝ったこの馬の行き先は…乗馬。種牡馬入り出来ないんです。もっとも、種牡馬として需要があったのであれば9歳まで現役を続ける必要もなかっただろうと思いますから、これは既定路線だったのでしょう。それでも何か釈然としないモヤモヤ感が残ります。
かつては不遇を託った内国産種牡馬ですが、今ではリーディング上位の大半を占めるまでになりました。実は内国産種牡馬は余っている状況なんですね。需要の大半はやはりサンデーサイレンスの系統ですが、だからといってこれだけ実績のある馬が種牡馬として供用されないのは何故なのでしょうか。
これは素人考えなのですが、現在の日本国内の競馬、さしずめ中央競馬においては、芝至上主義がその偏重の度合いをどんどん増しているように思います。距離体系にもひずみが出ており、マイル~2000mに番組が集中する傾向が見てとれる気がします。この状況こそが、馬産地がブルーコンコルドのように地方のダートレースに実績が偏っている馬の血を必要としない一番の理由であろうと考えます。
例えば血統的にまったく歯牙にかからないという話であれば、そういう例は今昔問わず数多有ったと思います。零細血統ながら際立って活躍した馬の場合、その競走実績を買われて種牡馬入りしても産駒の成績は鳴かず飛ばずということが多いですから、当然ながら血脈の優位性というのは問われます。
しかしブルーコンコルドの場合、父はニジンスキー直系のフサイチコンコルドですから傍流と片付ける対象ではありません。実際、同じ父を持つバランスオブゲームは種牡馬入りを果たしています。母の父のブライアンズタイムがサンデーサイレンスと同じヘイルトゥリーズン系ですから、肌馬の選択肢は狭くなるかもしれないという危惧はありますが、だからといってそれだけを理由とするには少々合点がいかないところも感じます。
そうなれば即ち、この馬の競走実績と世の趨勢、即ち「生産者が求める馬づくり」という点において、この馬は必要とされなかった、そういうことになります。これはかなり切ない結論です。ならばダート競走なんてやめてしまえ、JBCと銘打ってなぜダートでやってるんだ、全部芝かポリトラックに張り替えればいいじゃないか、そんな風にすら考えてしまいます。
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このようなケースは今回とりあげたブルーコンコルドの例に限りません。南半球最大のレースといわれるメルボルンカップを勝ったデルタブルースが乗馬となってあっさり去勢されたり、ツルマルボーイが産駒のデビューを待たずに種牡馬引退に追い込まれたりと、ダンスインザダーク産駒の不遇が目立ちます。これは偏に長距離血統が嫌われていることに他ならないと見えなくもなく、先に挙げたような偏重傾向を示す指標のひとつではないかと考えています。
もちろん、種牡馬の繋養にはたくさんの費用が必要です。それに馬産は趣味趣向ではなく産業であり、携わる人たちの生活を支えています。一人の競馬ファンがとやかく言ったところで、それでどうにかなるものではないというのも理解しています。ロマンだのドラマだのというきれいごとでは語れない部分があるのは事実です。
しかし、競馬ファンはかつて応援した馬の子供が出てくると感慨を覚えるものです。おそらく来年大挙してデビューするであろうディープインパクトの産駒を見て、彼の雄姿を髣髴させる人も多いでしょう。そうやって血を繋いでこそ、競馬は成り立っていくのだと思いたいのですが…。
ブルーコンコルドの今後が幸せであらんことを、祈るばかりです。
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