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2009年11月

2009.11.27

ジャパンカップ展望

公私ともにバタバタして更新が滞ってしまいました。馬券の成績も湿り気味で、ちょっとテンションが下がって来ている今日この頃です。

今週はジャパンカップなのですが、先日話題に挙げたばかりのロジユニヴァースが残念ながら出走回避となってしまいました。ダービー馬を無理して使って壊すわけにはいかないですから、やむを得ないですね。少し興味が削がれてしまったのは残念ですが、気を取り直して軽くプレビューをしてみようと思います。

ジャパンカップは今年で第29回を迎えますが、私個人がリアルタイムで見たのは昨年までの28回のうちのちょうど半分、14回です。初めて見たのはマーベラスクラウンが勝った1994年ですね。3冠馬ナリタブライアンが有馬記念へ直行、古馬では当代最強の存在だったビワハヤヒデが故障のため天皇賞秋を最後に引退、とネガティブ要素が重なった年で、人気が外国馬に集まった中での日本調教馬の勝利でした。マーベラスクラウンの南井騎手は年間でG1を5勝(この後有馬記念も勝利)する活躍を見せましたが、唯一のナリタブライアン以外の馬での勝利がこのジャパンカップでした。

こうやって思い返してみると、当時はまだ外国馬の方が能力上位で優勢という評価がされる風潮だったのだということに、少し驚きを感じます。現在では日本馬が強くなった(或いは実力のある外国調教馬の参戦が大きく減った)ためか、毎年のように日本馬が上位を独占していますよね。世界の強豪を迎え撃つというキャッチフレーズは、どこか白々しい感じさえします。

そんな昨今でしたが、今年は久々に大物が来日しました。今年の"キングジョージ"、そして昨年と今年のブリーダーズカップ・ターフを勝っているコンデュイットが参戦。日本馬一辺倒という状況に風穴が開くかもしれません。尤も、ここが現役ラストランで来年から日本(ビッグレッドファーム)で種牡馬入りが決まっています。いわゆる顔見世興行的な趣であり、このパターンで参戦した馬が軒並み凡走しているというデータを鑑みると、少し心配ではあります。

どうしてもコンデュイットに目が行ってしまう今年の外国馬ですが、個人的にはジャストアズウェルやインターパテイションも侮れないのではないかと感じています。前者は前々走2400mを2分26秒台で勝っており、時計の裏付けはあります。アーリントンミリオンでは2着でしたが、ブリーダーズカップ・クラシックでゼニヤッタの2着に入ったジオポンティに0.2秒差の接戦でした。一方の後者は前走でそのジオポンティを退けており、この辺を物差しにすると好走しても不思議ではないかも、と思えてくるのです。

日本馬では、ルメール騎手にスイッチしたウオッカや前走天皇賞で2着に入った前年の覇者スクリーンヒーローなどが人気になりそうです。3歳馬もリーチザクラウンとレッドディザイアが参戦してきましたが、少し分が悪いでしょうか…。ジャングルポケット産駒のオウケンブルースリが距離延長で上積みを期待できそうなのですが、果たして。

ひとつ疑問に思ったのは、これで6年連続の参戦となるコスモバルク。なぜこの馬は出走出来るんでしょうか。正直イコピコやジャガーメイルが出走した方が面白いような気がするんですが(後者は賞金的に苦しいですが)、地方所属馬は優先されるシステムなのでしょうか?JBCの時にも少し書きましたが、実力の伴わなくなった高齢馬が優先的に出走できる仕組みは無くさないといけないのではないかと思います。

ということで、今日はこのくらいにさせていただきます。具体的な予想は、気が向いたら後日書きます。

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2009.11.16

大穴決着は善か悪か

軸は堅いと思われていたエリザベス女王杯でしたが、思わぬ大波乱になりましたね。昔から穴狙いの常道として「人気薄の逃げ馬」とか言われますが、今回ばかりは本当によく言ったものだなと痛感しました。もちろん1着2着に粘った馬にしてみればしてやったりだったわけですが、負けてなお「この馬はすごい」と思わせたのは、僅差の3着にまで追い込んだブエナビスタ。上がり3ハロン32秒9ですか…瞬発力は古馬一線級にも引けを取らないですね。

ところで、こうやって何年かに1回くらいは発生する「あっと驚く逃げ切り」ですが、この結果に対してはいろんな反応があったみたいなので、少し取り上げてみたいと思います。

一昔前から競馬をやっている人であれば、大抵は「あー、やられた」「これは残る残る」「どうせなら逃げ切ってしまえ」とかいう感じで、ある意味開き直って楽しめる部分があるみたいです。誰しも一度や二度はそういうレースに遭遇しているはずですし、そんなレースで後方に沈んだ人気馬を責めたところでどうにもならないことは知っているから、でしょうね。

私の記憶にある穴馬の逃げ残りの例としては、サニーブライアンのダービーやイングランディーレの天皇賞あたりがパッと浮かびますかね。前者はともかく、後者には泡食ったクチです。同じ逃げ切りでもタップダンスシチーのような自分の強い形がある馬の場合はそんなに驚きもしないんですが、人気薄だとどうしても「してやられた」という印象が残りますね。

それに対して、近年の若いファンには「酷いレースだ」とか「こんなのG1じゃねぇ」とか憚りなく公言している人たちもいるようです。まあ気持ちは分かりますし、これがもっと接戦だったり人気馬に明らかな不利や失敗があったりしてたら、更に穏やかじゃなかったかもしれません。でもこの種の展開の綾は往々にしてありますし、それに賭けている人も少なからずいる(上位2頭は単勝で11番人気、12番人気なので更に人気の無い馬がまだ6頭もいる)わけですから、そういう意見は所詮「負け犬の遠吠え」でしかないんです。結果は結果であり、これも競馬です。

八百長だの成績操作だのという話もあったりしますが、じゃあそれをやることで誰が得をするのか、と考えてみたら良いと思います。鉄板決着だろうが大荒れだろうが、JRAの控除分は一定です。人気になることの多い大馬主やクラブの馬が飛んでしまう訳ですから、そのあたりのパワーバランスが影響している訳でもないです。増してや、特定の調教師や騎手に肩入れするなんてのはあまり意味をなさない話です。今回は素直に、田中博康騎手がうまく乗ったことを褒めるべきではないでしょうか。

ちなみに私の馬券も全然ハズレでした。ブエナビスタの相手にはミクロコスモスを推していましたが、道中ずっと折り合いを欠いていて全然競馬になっていませんでした。穴で狙ったニシノブルームーンも、この馬の走りはできたと思いますがG1では些か力不足でした。

さて、前回のエントリーで触れた欧州からの遠征馬シャラナヤについても少し触れておきます。いろいろな不安要素がある割には人気になっていた同馬ですが、結果は前とは差があったものの4着と善戦。しかも上がり3ハロンで33秒台の脚を使っており、これは日本の馬場に適性を見せたと言って良いのではないかと思います。同馬はこのまま日本に滞在してジャパンカップに出走する予定だそうで、なかなか面白い存在になるのではないかと期待しています。と同時に、今後日本の競馬界でもロミタス産駒の評価が上がるかもしれません。

昔は海外からの遠征馬が来ると「がんばれ日本」みたいな気持ちになっていたのですが、海外馬が日本で結果を出せなくなって久しい昨今では、逆に新鮮味があって良かったように感じました。今年はジャパンカップダートにアメリカの牡馬クラシック勝ち馬として初めて参戦する馬(ベルモントステークス勝ち馬サマーバード)もおり、こちらにも注目しようと思っています。

ともあれ、結果が大荒れになろうが何だろうがそれはそれとして受け入れられないと、やってられなくなりますよね。競馬は穏やかな気持ちで優雅に楽しむのが一番だと改めて実感した、そんなエリザベス女王杯でした。

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2009.11.13

血統の多様化を垣間見たBC

エリザベス女王杯の枠順が発表されましたが、注目のブエナビスタは外枠の16番。これであとは天候さえ何とかなれば(重馬場が不得手という証左はありませんが切れが活きるのは良馬場でしょう)軸としては堅そうでしょうか。同期のライバルのレッドディザイアはいませんし、古馬混交になって以降のエリザベス女王杯は得てして「復活」の舞台になっています。この馬にとっては前走降着の汚名を返上する絶好のチャンス到来、かもしれません。

先週アメリカでは第26回のブリーダーズカップが開催されましたが、クラシックで牡馬相手に快勝したゼニヤッタが話題をさらっていますね。これでデビューから負け無しの14連勝、しかも初めての一線級牡馬との勝負に勝ち、年度代表馬の称号をグッと引き寄せた感があります。本馬はこれで引退とのことですが、半姉のバランスもG1を3つ勝っている活躍馬と活力のある牝系ですから、子供にも期待したいところです。

こうやって海外の競馬に目を向けた時、ふと気がついたことがあります。例えばゼニヤッタの父は2002年のドバイワールドカップを勝ったストリートクライ。ターフを連覇したコンデュイットの父は2003年の凱旋門賞馬ダラカニ。このように若い種牡馬の子供たちが活躍しており、結果としていつの間にか世代交代が進んで血統地図が様変わりしつつあるのです。

個人的に競馬に興味を持った発端が「血統への興味」であったので、最初のうちは一生懸命血統を追いかけていました。リアルシャダイ産駒が1着から3着を独占した1995年の天皇賞春には言いようのない感動を覚え、現役晩年をリアルタイムで見ていたスプリント王・サクラバクシンオーの産駒たちがみな短距離で活躍している姿に納得して感心していました。しかし最近はやや興味が薄れてきており、疎くなりつつあります。

その理由は簡単で、サンデーサイレンスとその後継種牡馬たちが幅を利かせるようになった、ここ10年あまりの日本の血統情勢に虚しさのようなものを感じているからです。希少な存在だった父内国産馬の方が多くなってしまい、逆に輸入種牡馬の子供や外国産馬が少なくなってしまった今の構成は、馬産地としては良いのかもしれない(かどうかも定かではない)のですが、バラエティに富んでないというか「どこを切ってもサンデー」みたいな金太郎飴の如きイメージがあります。

確かに、そういう歴史の繰り返しであるのは洋の東西を問わない話ではあります。サラブレッドの血統上に大きな版図を広げた大種牡馬というのはいつの時代にも存在し、傍系の血は淘汰されていく運命にあります。しかしそれは盛衰の反復であり、隆盛を誇った血統にも必ず谷間がやって来て、その時は群雄割拠の戦国模様が繰り広げられます。日本は今なお大種牡馬サンデーサイレンスの余韻を引きずったままですが、世界の血統情勢は今まさに戦国時代に入っているように思います。

上に挙げたブリーダーズカップ・ターフの勝ち馬コンデュイットは、来年から日本で種牡馬入りすることが決まっているそうです。日本では活力が落ちて活躍馬が出なくなって久しいネヴァーベント系ですが、ヘイルトゥリーズンの系統を持たない血統構成の本馬は日本国内に数多くいるサンデーサイレンスやブライアンズタイムの肌馬とは相性が良さそうにも見えます。産駒から活躍馬が出てくることを期待したいですね。

ちなみに、今週のエリザベス女王杯に参戦してくるただ1頭の外国調教馬であるシャラナヤは、ニジンスキー系でも日本ではあまり馴染みのないロミタスの産駒です。日本の軽い芝への適応性が未知数で、馬券戦略的には取捨選択が難しい1頭です。例としては適当ではないかもしれませんが、このような血統の多様化の流れに追従していかないと血統から馬の特徴をイメージすることが難しくなっていくので、これを機に少し血統への興味を揺り戻していかなければならないかな、と感じる今日この頃です。

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2009.11.09

仲介者という名のグレーゾーン

この土日はG1の中休み、というか今年最後のG1の無い週末だった訳ですが、個人的には土曜日に燃え尽きてしまい日曜日は馬券オフの日となってしまいました。武蔵野ステークス、狙いは悪くなかったと思うんですがダイショウジェットが抜けてしまい、ハズレ。鉄砲のワイルドワンダーをしっかり拾っていただけに悔やまれます…。

週末にはエリザベス女王杯が控えますが、今日は騎手の話を少し書こうと思います。

今年の騎手リーディング争いは近年稀にみる接戦の様相でしたが、現在は関東の内田騎手がトップ。定位置キープを目指す武豊騎手との差は14鞍で、まだ安全圏とは言えないものの全国リーディングの影が少し見えて来た?という雰囲気。3位の岩田騎手はこの日曜に年間100勝に到達しましたが、2位の武騎手との差は18鞍。事実上上位二人の戦いという感じです。

ところで、かつては年間に200勝も挙げていた武豊騎手が近年振るわない(とは言いつつもリーディングなのですが)ことに疑問を持つファンは多いと思います。意外なほど人気薄の馬に騎乗していることもありますし、先日のスプリンターズステークスは珍しくG1の騎乗馬が無く阪神での騎乗でした。こういう流れはどこに端を発しているのでしょうか。

現在の中央競馬では、陣営(馬主や調教師)から騎手への騎乗依頼の過程において、それを仲介する通称「エージェント」と呼ばれる人の存在が公にされています。以前は騎乗依頼を仲介することは明示的に禁止されていましたが、80年代~90年代初頭にそれを仲介する人が現れ、長く黙認してきたJRAは近年になってその存在を明らかにしました。このエージェントの存在こそが、今のリーディング争いに大きな影響を及ぼしているのではないかと考えています。

エージェントは一部を除いて競馬専門紙の記者、つまりトラックマンが占めています。ゆえに、同じ新聞社のトラックマン同士で騎乗馬を都合しあったりすることが往々にしてあるようです。また、一部のトラックマンは複数(多い場合は4~5人かそれ以上)の騎手のエージェントを兼任し、その中で騎乗馬を回したりする例もあるそうです。このようなつながりは俗に「ライン」と呼ばれており、現在は関東では競馬研究や日刊競馬、関西では競馬ブックがその影響力を大きくしているようです。

先述の武騎手も当然専属のエージェントを抱えていますが、ラインは持たず独立した存在です。武騎手は当代のトップジョッキーですから、同じレースの騎乗依頼が重複するケースもあります。依頼する側からすれば、ギリギリの段階で他の馬を選ばれると代わりの騎手を用立てるのは容易ではなく、仕方なく下位の騎手に依頼することもあるようです。一方、複数の騎手を抱えるエージェントに依頼した場合は、もしA騎手の騎乗が無理でもB騎手ないしC騎手なら乗れる、という持ち回しが可能になるため、依頼側のリスクが小さくなります。従って、有力な騎手を複数抱えるラインには馬が集まるようになる訳です。

問題なのは、これらエージェントの役割をトラックマンが行っているという点です。競馬はギャンブルであり、不正は絶対に忌避しなければなりません。そのために騎手や調教師には厳しい規制がかかっていますが、それを取材する立場のトラックマンはいわば治外法権的なポジションにあり、トレセン内を自由に行き来してこのような活動を行っています。もちろん、そんなマネジメントの傍らで自分の仕事、つまり予想も行っているのです。これが認められる現在のシステムには、個人的には疑問を感じます。

確かに、武騎手も不惑を迎えて若い頃のような勢いはないのかもしれません。腰痛の持病を抱えているのも、騎乗数を抑えている要因かもしれません。しかし、そういうものとは別のパワーバランスによって現在のリーディング争いは「操作」されているような印象があります。一人の騎手が突出するよりは競争原理が働いた方が健全ではあるのですが、これが果たして健全なのか…?というモヤモヤ感があるのも事実です。

なお誤解の無いように補足をすると、現在リーディング首位の内田騎手のエージェントも単独(しかも新聞社所属ではないフリー)の方のようです。だからという訳ではありませんが、彼がリーディングを取る可能性について、含むところや他意はありません。

競馬を楽しむにあたっては「予想には様々な要素を検証すべき」とは思いますが、できればこういうドロドロした部分には触れずに楽しめた方がいいなあ、と思う今日この頃です。

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2009.11.06

G1を7勝でも必要とされない血

火曜日が休みだったせいか、今週は週末が来るのが随分早いように感じます。長年の習慣から「馬券を買う日=休日=週末」という潜在意識があるのだろうと思うので、火曜日にJBCの馬券を買ったというのも関係しているんでしょう。

もちろん地方競馬は週日にも開催されているのですが、普通の勤め人をやっている分にはなかなか馬券を買えないんですよね。ナイターの場合とかは大丈夫なんですが。

先日のJBCにも出走していたブルーコンコルドが競走馬登録を抹消されたようです。地方交流レースばかりとはいえ、G1を7つも勝ったこの馬の行き先は…乗馬。種牡馬入り出来ないんです。もっとも、種牡馬として需要があったのであれば9歳まで現役を続ける必要もなかっただろうと思いますから、これは既定路線だったのでしょう。それでも何か釈然としないモヤモヤ感が残ります。

かつては不遇を託った内国産種牡馬ですが、今ではリーディング上位の大半を占めるまでになりました。実は内国産種牡馬は余っている状況なんですね。需要の大半はやはりサンデーサイレンスの系統ですが、だからといってこれだけ実績のある馬が種牡馬として供用されないのは何故なのでしょうか。

これは素人考えなのですが、現在の日本国内の競馬、さしずめ中央競馬においては、芝至上主義がその偏重の度合いをどんどん増しているように思います。距離体系にもひずみが出ており、マイル~2000mに番組が集中する傾向が見てとれる気がします。この状況こそが、馬産地がブルーコンコルドのように地方のダートレースに実績が偏っている馬の血を必要としない一番の理由であろうと考えます。

例えば血統的にまったく歯牙にかからないという話であれば、そういう例は今昔問わず数多有ったと思います。零細血統ながら際立って活躍した馬の場合、その競走実績を買われて種牡馬入りしても産駒の成績は鳴かず飛ばずということが多いですから、当然ながら血脈の優位性というのは問われます。

しかしブルーコンコルドの場合、父はニジンスキー直系のフサイチコンコルドですから傍流と片付ける対象ではありません。実際、同じ父を持つバランスオブゲームは種牡馬入りを果たしています。母の父のブライアンズタイムがサンデーサイレンスと同じヘイルトゥリーズン系ですから、肌馬の選択肢は狭くなるかもしれないという危惧はありますが、だからといってそれだけを理由とするには少々合点がいかないところも感じます。

そうなれば即ち、この馬の競走実績と世の趨勢、即ち「生産者が求める馬づくり」という点において、この馬は必要とされなかった、そういうことになります。これはかなり切ない結論です。ならばダート競走なんてやめてしまえ、JBCと銘打ってなぜダートでやってるんだ、全部芝かポリトラックに張り替えればいいじゃないか、そんな風にすら考えてしまいます。

このようなケースは今回とりあげたブルーコンコルドの例に限りません。南半球最大のレースといわれるメルボルンカップを勝ったデルタブルースが乗馬となってあっさり去勢されたり、ツルマルボーイが産駒のデビューを待たずに種牡馬引退に追い込まれたりと、ダンスインザダーク産駒の不遇が目立ちます。これは偏に長距離血統が嫌われていることに他ならないと見えなくもなく、先に挙げたような偏重傾向を示す指標のひとつではないかと考えています。

もちろん、種牡馬の繋養にはたくさんの費用が必要です。それに馬産は趣味趣向ではなく産業であり、携わる人たちの生活を支えています。一人の競馬ファンがとやかく言ったところで、それでどうにかなるものではないというのも理解しています。ロマンだのドラマだのというきれいごとでは語れない部分があるのは事実です。

しかし、競馬ファンはかつて応援した馬の子供が出てくると感慨を覚えるものです。おそらく来年大挙してデビューするであろうディープインパクトの産駒を見て、彼の雄姿を髣髴させる人も多いでしょう。そうやって血を繋いでこそ、競馬は成り立っていくのだと思いたいのですが…。

ブルーコンコルドの今後が幸せであらんことを、祈るばかりです。

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2009.11.04

JBCに見る地方競馬の暗い影

今年のダービー馬ロジユニヴァースが、ジャパンカップを目標に乗り込まれているようです。当初は今週末のアルゼンチン共和国杯も視野に入っていたようですが、さすがに当代のダービー馬がそこを使うというのは躊躇われたんでしょうか(もちろんハンデの問題もありますが)。ともあれ、ウオッカの敗戦で雰囲気が沈み気味の競馬サークルを明るくするには、やはりダービー馬が頑張ってくれないとと思う次第です。

3日は名古屋でJBCが開催されました。名古屋での開催は2回目、4年前の第5回JBC以来となります。この4年前の時は現地に参戦したのですが、物凄いごった返しようで大変だったのと馬券がさっぱり当たらなかったことを思い出します。今回はさすがに少し窓口を増やしたりなどの対処をしたらしいのですが、いかほど効果があったか気になるところです。

レースをサラリと回顧すると、まずはスプリント。フェラーリピサの除外で俄然有利な立場になったスーニが、直線で出し抜けを図ったアドマイヤスバルを差し返して勝利。3着に10歳馬のリミットレスビッドが頑張り、初ダートで注目されたビービーガルダンは3角で失速して6着でした。

スーニは距離短縮で結果を出しており、馬体も一頃に比べて良くなっていました。春先の強行軍が祟ってか状態が悪くなっていましたが、ここに来て持ち直した感があったので、納得の勝利と思います。JCダートは少し長いと思うので、来年のフェブラリー辺りが目標になるのではないでしょうか。2着アドマイヤスバルは中距離戦からの転戦でしたが、うまく乗られてあわやの競馬。この馬も力をつけましたね。ビービーガルダンは洋芝に強いのでダートもこなすかもという期待がありましたが、血統的にダートは難しいのではという下馬評もありましたから、この敗戦はやむなしという感じでしょうか。

クラシックは完全に人気3頭の三つ巴の競馬。直線で狭い内ラチ沿いを突いたヴァーミリアンが人気に応えて勝ち、8つ目のG1を手にしました。2着マコトスパルビエロ、3着ワンダースピードと人気の順に入線し、3連単で560円という固い決着でした。

スタート一息ながら積極策で前に出たマコトスパルビエロを見る形で進んだヴァーミリアン、直線は手応え十分ながら出るところがあるのか?というヒヤヒヤ感がありましたが、あの辺りは武豊騎手の巧さでしょうか。2日前の天皇賞で残念な結果になっているだけに気合が入っていたんだろうと思います。2着のマコトはプラス15キロの馬体がいかにも太かったのですが、それでもこの僅差ですから着実に力をつけている気がします。ワンダースピード、4着メイショウトウコンらも含めて、JCダートで再戦ということになりそうです。

ちなみに私の馬券のは、スプリントがスーニ1着固定勝負、クラシックはヴァーミリアンからマコトが本線、ということで両方とも馬単・3連単を取らせてもらいました。結構自信のあった天皇賞を外してガッカリしていたのですが、これで気分も懐も復活です。

JBCが今年で9回目というのには少し驚いたんですが、それ以上に「クラシックの勝ち馬は初代のレギュラーメンバーを除いてみんな複数回勝利している」という記録があるのにびっくりしました。ダートの一線級ではそれだけ実力差があるということなのかもしれませんが、それ以上に現在の出走枠のシステムに問題があることが関係していると考えます。

今年はスーニに限らず3歳勢が強そうなのですが、登録のあったトランセンドやテスタマッタは除外対象。今年のフェブラリーを勝ったサクセスブロッケンすら補欠でした。それで出走してきたのが9歳や10歳という面々ですから…、まあリミットレスビッドは気を吐きましたが(これで引退だそうです)、もう少し柔軟な対応はできないものかと感じずにはいられないです。若い力が実績のある古馬にぶつかるとなれば、もっと話題性は高くなるはずですし、当然売上にもつながると思います。

地方競馬で1年のうち最も華やぐのがこのJBCです。地方競馬が困窮状態になって久しいのですが、こういう機会をうまく活かせない運営の下手さや情熱の無さが、ファン離れを加速させている気がします。地方競馬にはもっともっと頑張ってほしいと、特に東海公営は気合が足りないと、声を大にして訴えたいと思う今日この頃です。

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2009.11.02

若いもんには負けられない

ブログってひっそりやるとどれくらい隠密にできるのかな?と懐疑的に考えていたのですが、さすがにこれだけの間放置しているとおいそれと訪問者は訪れないですね。

以前定期的に更新していた頃はブログ村さんにもトラックバックをしてましたからそこから来られる方も多かったのですが、そういう頑張りの部分をサラッと省略して思いついたことをダラッと書いていくのが、今回の更新再開における主旨です。もし偶然訪れた方がおられましたら、そんな訳ですので以後お見知りおきをお願いします。

日曜日は出掛けていたので、秋の天皇賞はライブで観戦(といってもテレビですが)することができませんでした。車を運転中だったのでラジオで聞いていたのですが、何か釈然としない内容でしたね。ええ、実況が。

以前から思うのですが、ラジオNIKKEIさん以外の民放ラジオ局の競馬実況ってなぜあんなに酷いんでしょうか。直線も半ば、やれキャプテントゥーレが抜け出した、シンゲンもいい脚で来る、みたいなことを言っておいて、蓋を開けたらどこにもいない、という感じ。真剣に短波ラジオがほしいと思ってしまいましたよ。

余談はさておいてレースの結果ですが、カンパニーですか。8歳、旧の馬齢なら9歳での天皇賞制覇は快挙ですね。この馬は東京に向いていることは今更念を押すようなことではないのですが、それでもG1ではもうひとつ足らないレースが続いていただけに、この勝利は陣営には格別だったのではないでしょうか。

期待したキャプテントゥーレにとっては厳しい流れでした。この馬に限らず先行した馬が軒並み脚勢を失っているように、前の馬には息の入らない難しいレースだったと思います。一方、シンゲンやオウケンブルースリは完全に力負けで、ここまでのスピード競馬に対応できるタイプではないようですね。

ウオッカは引退も示唆という話が出ていますが、決して衰えたとは感じないんですけどね。ただし距離延長はプラスとは思えないので、右回りに活路を求めてマイルチャンピオンシップに向かってはどうかと、個人的には考えます。

馬券的には2着のスクリーンヒーローが買えずにペケでした。やはり最後はオカルトでも何でも乗っかっておかないとだめなんですかね。いやはや。

天皇賞でひとつ気になったのは、今年も昨年と同じ1分57秒2という時計が出たという点です。コース替わりの影響もあるでしょうが、ローラーでもかけたんでしょうか。いかにも速いというか、速過ぎる気がします。JRAが高速馬場を得意とするウオッカのために用意した舞台、とかいう下種な勘繰りをしたくなるところですが、それがウオッカだけに有利な訳ではないですしね…。真相は分かりませんが、馬のためには良くないんじゃないかなと感じるところです。

来週はG1はお休みなので一息、と言いたいところですが、明日はJBCです。本当は名古屋に行こうと思っていたのですが、私の周囲の人たちは私ほど競馬が好きではないらしく、1人で行くのはさみしいので断念してしまいました。なので、久しぶりにSPATを使おうと思っています。

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