まつりのあと

2009.12.01

ウオッカはルメールだから勝った?

ジャパンカップはなかなか見応えのあるレースでした。結局2センチ差ですか。オウケンブルースリ陣営からすれば十分勝てたはずのレースを落としたという思いが強いかもしれませんが、これがウオッカの生まれ持った力なのかなと妙に納得してしまいました。自分の馬券はオウケンからエアシェイディとリーチザクラウンを相手にしていたので、軸とヒモは来たけど相手が来ずという外し方でした。まあ堅い決着だったので、これはこれで良しとします。

さて、このジャパンカップでレース前から物議を醸し、結果としてそれが明暗を分けた話があります。それはウオッカの鞍上。前走まで跨っていた武豊騎手に代わってフランスのルメール騎手が手綱を取り、見事な復活劇を演じました。一方の武豊騎手はリーチザクラウンで果敢な戦法に出ましたが、結果は9着。今回はこのあたりを考察したいと思います。今日はいつもに増して長文です。

ウオッカのデビュー2戦目から4歳初戦の京都記念まで、その手綱を取っていたのは四位騎手でした(ちなみにデビュー戦は佐賀の鮫島騎手)。四位騎手を背に阪神ジュベナイルフィリーズ、そしてダービーと2つのG1を手にしましたが、一方で同世代のライバルであるダイワスカーレットに後塵を拝することも多く、最優秀3歳牝馬のタイトルも奪われてしまいました。正直、3歳秋の競馬振りは当代のダービー馬としては物足りない内容だった感は否めません。

4歳春のドバイ遠征時に武豊騎手に交代していますが、名目上は「ドバイで一番結果を出している日本人騎手」への乗り替わりということでした。しかしこの四位騎手→武騎手の交代劇は、奇しくもウオッカの父であるタニノギムレットでもあった出来事であり、両馬のオーナーである谷水氏としてはどこか大義名分のあるタイミングで武豊騎手に交代させたかったのではないかと感じます。確かにギムレットの時は皐月賞の騎乗内容が非難を浴びたということもありますが、それ以上に「最高の馬に最高の騎手を」という思いがオーナーにはあったのではないでしょうか。

話は逸れますが、似たような事例にメイショウサムソンの例があります。デビュー以来一貫して石橋騎手が手綱を取っていましたが、4歳秋に武豊騎手に交代しています。この時も、欧州遠征(馬インフルエンザの影響により断念)に際して「経験のある騎手へ」というオーナーの意向による乗り替わりでしたが、その後引退するまでの間に勝ち鞍が天皇賞秋ただ1つだったにもかかわらず、石橋騎手に手が戻ったのは落馬負傷による代役騎乗が一度のみでした。石橋騎手とサムソンのコンビでは、3つのG1を含む重賞5勝を挙げています。

ウオッカに話を戻します。武豊騎手を鞍上に迎えて以降で乗り替わりがあったのは今回が3回目で、1回目は昨年の安田記念、2回目が昨年のジャパンカップです。その2回ともに岩田騎手が手綱を取り、安田記念は圧勝。ジャパンカップは3着でした。前者は武豊騎手に先約があったため、後者は落馬負傷で騎乗できなかったため、という明白な理由がありましたが、特に安田記念では岩田騎手の騎乗は称えられ、同時に武豊騎手(この時点でウオッカとのコンビでは未勝利)とのコンビネーションへの疑問や、同騎手の騎乗スタイルや衰えに対する言及があったと思います。

実は、ウオッカという馬の成績には割と明快な傾向があります。元々気性的に難しい面があってコンスタントにパフォーマンスを発揮できないタイプなのですが、不思議なことに休み明けから3走目のパフォーマンスが特に高いのです。逆にいえば、休養明けや4走目以降では成績を大きく落としているケースが目立ち、これは好調が持続できないことを示しているものと考えています。

戦績を振り返ると、3歳春はエルフィンステークスからチューリップ賞→桜花賞→ダービー→宝塚記念のローテーション。初戦が負担の軽い内容だったことを考慮すると、桜花賞からダービーにかけてが好調のピークということになります。それでも負けた桜花賞は、想像以上にダイワスカーレットが強かったこと、裏を返せば四位騎手に油断があったということだと推測します。3歳秋は休み明けの秋華賞で3着に敗れ、エ女王杯は取り消し。それでもジャパンカップでは歴戦の古馬相手に差の無い4着に駆けていますから、3走目がピークという理論はあてはまりそうです。どちらの例もそれ以降大きく着順を下げています。

4歳以降もほぼこのパターンに当てはまるのですが、例外だったのが4歳秋のジャパンカップです。この時は叩き2走目の天皇賞で歴史に残る劇走を見せましたが、3走目のジャパンカップでは伏兵スクリーンヒーローに足元をすくわれました。この時の鞍上は、先述のとおり岩田騎手。今年のジャパンカップを見た今となっては距離云々は要因とは言えないですから、これが前走の反動なのか騎乗スタイルの問題なのか、いずれにしても勝てるレースをフイにしたという見方が出来ると考えています。

今回のジャパンカップはこの秋3走目で、この馬にとって最もパフォーマンスを上げるタイミングでした。そこでルメール騎手に乗り替わって見事に勝利しましたが、これがルメール騎手の手柄で武豊騎手とは手が合わない、或いは武豊騎手はルメール騎手に劣る、という話になるのかどうかです。見方は様々でしょうが、ここまでの考察からすれば恐らく武豊騎手が騎乗していても勝っていたのではないか…個人的にはそう思えるのです。

ちなみに、じゃあ何故馬券はオウケンブルースリからだったのかということになるのですが、ジャパンカップの前までは私の中でのウオッカの評価は「スピードが秀でたマイラー」で、2400mへの距離延長でパフォーマンスを上げることはないと考えていたからです。しかし今回の結果を受けて考察し直した結果は…そんなことは無かったみたいですね。

管理する角居師は「掛かるイメージを持っていない騎手に」という理由での交代を明言していましたが、天皇賞秋のレース後のコメントからは明らかに武豊騎手の騎乗への不満が感じられました。結果として乗り替わりが功を奏した形になりましたが、これで谷水オーナーは満足だったのでしょうか。私には、どうもモヤモヤしたところが残る結果になったように思えてなりません。

先のメイショウサムソンの件にしてもそうですが、馬主の人たちはやはり「自分の馬に武豊を」という思いが強いのだと思います。調教師にはそれを制して別の騎手を乗せようとする人も多いのですが、それが適切な判断かどうかは見ている側では分かりません。ただ、素人目にも武豊騎手は「日本で一番絵になるジョッキー」です。彼を背にした実力馬が勝利する姿が、私は一番好きです。

そんな訳で、今週のジャパンカップダートではヴァーミリアンと武豊騎手を応援しようと思います。

| | コメント (0)

2009.11.16

大穴決着は善か悪か

軸は堅いと思われていたエリザベス女王杯でしたが、思わぬ大波乱になりましたね。昔から穴狙いの常道として「人気薄の逃げ馬」とか言われますが、今回ばかりは本当によく言ったものだなと痛感しました。もちろん1着2着に粘った馬にしてみればしてやったりだったわけですが、負けてなお「この馬はすごい」と思わせたのは、僅差の3着にまで追い込んだブエナビスタ。上がり3ハロン32秒9ですか…瞬発力は古馬一線級にも引けを取らないですね。

ところで、こうやって何年かに1回くらいは発生する「あっと驚く逃げ切り」ですが、この結果に対してはいろんな反応があったみたいなので、少し取り上げてみたいと思います。

一昔前から競馬をやっている人であれば、大抵は「あー、やられた」「これは残る残る」「どうせなら逃げ切ってしまえ」とかいう感じで、ある意味開き直って楽しめる部分があるみたいです。誰しも一度や二度はそういうレースに遭遇しているはずですし、そんなレースで後方に沈んだ人気馬を責めたところでどうにもならないことは知っているから、でしょうね。

私の記憶にある穴馬の逃げ残りの例としては、サニーブライアンのダービーやイングランディーレの天皇賞あたりがパッと浮かびますかね。前者はともかく、後者には泡食ったクチです。同じ逃げ切りでもタップダンスシチーのような自分の強い形がある馬の場合はそんなに驚きもしないんですが、人気薄だとどうしても「してやられた」という印象が残りますね。

それに対して、近年の若いファンには「酷いレースだ」とか「こんなのG1じゃねぇ」とか憚りなく公言している人たちもいるようです。まあ気持ちは分かりますし、これがもっと接戦だったり人気馬に明らかな不利や失敗があったりしてたら、更に穏やかじゃなかったかもしれません。でもこの種の展開の綾は往々にしてありますし、それに賭けている人も少なからずいる(上位2頭は単勝で11番人気、12番人気なので更に人気の無い馬がまだ6頭もいる)わけですから、そういう意見は所詮「負け犬の遠吠え」でしかないんです。結果は結果であり、これも競馬です。

八百長だの成績操作だのという話もあったりしますが、じゃあそれをやることで誰が得をするのか、と考えてみたら良いと思います。鉄板決着だろうが大荒れだろうが、JRAの控除分は一定です。人気になることの多い大馬主やクラブの馬が飛んでしまう訳ですから、そのあたりのパワーバランスが影響している訳でもないです。増してや、特定の調教師や騎手に肩入れするなんてのはあまり意味をなさない話です。今回は素直に、田中博康騎手がうまく乗ったことを褒めるべきではないでしょうか。

ちなみに私の馬券も全然ハズレでした。ブエナビスタの相手にはミクロコスモスを推していましたが、道中ずっと折り合いを欠いていて全然競馬になっていませんでした。穴で狙ったニシノブルームーンも、この馬の走りはできたと思いますがG1では些か力不足でした。

さて、前回のエントリーで触れた欧州からの遠征馬シャラナヤについても少し触れておきます。いろいろな不安要素がある割には人気になっていた同馬ですが、結果は前とは差があったものの4着と善戦。しかも上がり3ハロンで33秒台の脚を使っており、これは日本の馬場に適性を見せたと言って良いのではないかと思います。同馬はこのまま日本に滞在してジャパンカップに出走する予定だそうで、なかなか面白い存在になるのではないかと期待しています。と同時に、今後日本の競馬界でもロミタス産駒の評価が上がるかもしれません。

昔は海外からの遠征馬が来ると「がんばれ日本」みたいな気持ちになっていたのですが、海外馬が日本で結果を出せなくなって久しい昨今では、逆に新鮮味があって良かったように感じました。今年はジャパンカップダートにアメリカの牡馬クラシック勝ち馬として初めて参戦する馬(ベルモントステークス勝ち馬サマーバード)もおり、こちらにも注目しようと思っています。

ともあれ、結果が大荒れになろうが何だろうがそれはそれとして受け入れられないと、やってられなくなりますよね。競馬は穏やかな気持ちで優雅に楽しむのが一番だと改めて実感した、そんなエリザベス女王杯でした。

| | コメント (0)

2009.11.04

JBCに見る地方競馬の暗い影

今年のダービー馬ロジユニヴァースが、ジャパンカップを目標に乗り込まれているようです。当初は今週末のアルゼンチン共和国杯も視野に入っていたようですが、さすがに当代のダービー馬がそこを使うというのは躊躇われたんでしょうか(もちろんハンデの問題もありますが)。ともあれ、ウオッカの敗戦で雰囲気が沈み気味の競馬サークルを明るくするには、やはりダービー馬が頑張ってくれないとと思う次第です。

3日は名古屋でJBCが開催されました。名古屋での開催は2回目、4年前の第5回JBC以来となります。この4年前の時は現地に参戦したのですが、物凄いごった返しようで大変だったのと馬券がさっぱり当たらなかったことを思い出します。今回はさすがに少し窓口を増やしたりなどの対処をしたらしいのですが、いかほど効果があったか気になるところです。

レースをサラリと回顧すると、まずはスプリント。フェラーリピサの除外で俄然有利な立場になったスーニが、直線で出し抜けを図ったアドマイヤスバルを差し返して勝利。3着に10歳馬のリミットレスビッドが頑張り、初ダートで注目されたビービーガルダンは3角で失速して6着でした。

スーニは距離短縮で結果を出しており、馬体も一頃に比べて良くなっていました。春先の強行軍が祟ってか状態が悪くなっていましたが、ここに来て持ち直した感があったので、納得の勝利と思います。JCダートは少し長いと思うので、来年のフェブラリー辺りが目標になるのではないでしょうか。2着アドマイヤスバルは中距離戦からの転戦でしたが、うまく乗られてあわやの競馬。この馬も力をつけましたね。ビービーガルダンは洋芝に強いのでダートもこなすかもという期待がありましたが、血統的にダートは難しいのではという下馬評もありましたから、この敗戦はやむなしという感じでしょうか。

クラシックは完全に人気3頭の三つ巴の競馬。直線で狭い内ラチ沿いを突いたヴァーミリアンが人気に応えて勝ち、8つ目のG1を手にしました。2着マコトスパルビエロ、3着ワンダースピードと人気の順に入線し、3連単で560円という固い決着でした。

スタート一息ながら積極策で前に出たマコトスパルビエロを見る形で進んだヴァーミリアン、直線は手応え十分ながら出るところがあるのか?というヒヤヒヤ感がありましたが、あの辺りは武豊騎手の巧さでしょうか。2日前の天皇賞で残念な結果になっているだけに気合が入っていたんだろうと思います。2着のマコトはプラス15キロの馬体がいかにも太かったのですが、それでもこの僅差ですから着実に力をつけている気がします。ワンダースピード、4着メイショウトウコンらも含めて、JCダートで再戦ということになりそうです。

ちなみに私の馬券のは、スプリントがスーニ1着固定勝負、クラシックはヴァーミリアンからマコトが本線、ということで両方とも馬単・3連単を取らせてもらいました。結構自信のあった天皇賞を外してガッカリしていたのですが、これで気分も懐も復活です。

JBCが今年で9回目というのには少し驚いたんですが、それ以上に「クラシックの勝ち馬は初代のレギュラーメンバーを除いてみんな複数回勝利している」という記録があるのにびっくりしました。ダートの一線級ではそれだけ実力差があるということなのかもしれませんが、それ以上に現在の出走枠のシステムに問題があることが関係していると考えます。

今年はスーニに限らず3歳勢が強そうなのですが、登録のあったトランセンドやテスタマッタは除外対象。今年のフェブラリーを勝ったサクセスブロッケンすら補欠でした。それで出走してきたのが9歳や10歳という面々ですから…、まあリミットレスビッドは気を吐きましたが(これで引退だそうです)、もう少し柔軟な対応はできないものかと感じずにはいられないです。若い力が実績のある古馬にぶつかるとなれば、もっと話題性は高くなるはずですし、当然売上にもつながると思います。

地方競馬で1年のうち最も華やぐのがこのJBCです。地方競馬が困窮状態になって久しいのですが、こういう機会をうまく活かせない運営の下手さや情熱の無さが、ファン離れを加速させている気がします。地方競馬にはもっともっと頑張ってほしいと、特に東海公営は気合が足りないと、声を大にして訴えたいと思う今日この頃です。

| | コメント (0)

2009.11.02

若いもんには負けられない

ブログってひっそりやるとどれくらい隠密にできるのかな?と懐疑的に考えていたのですが、さすがにこれだけの間放置しているとおいそれと訪問者は訪れないですね。

以前定期的に更新していた頃はブログ村さんにもトラックバックをしてましたからそこから来られる方も多かったのですが、そういう頑張りの部分をサラッと省略して思いついたことをダラッと書いていくのが、今回の更新再開における主旨です。もし偶然訪れた方がおられましたら、そんな訳ですので以後お見知りおきをお願いします。

日曜日は出掛けていたので、秋の天皇賞はライブで観戦(といってもテレビですが)することができませんでした。車を運転中だったのでラジオで聞いていたのですが、何か釈然としない内容でしたね。ええ、実況が。

以前から思うのですが、ラジオNIKKEIさん以外の民放ラジオ局の競馬実況ってなぜあんなに酷いんでしょうか。直線も半ば、やれキャプテントゥーレが抜け出した、シンゲンもいい脚で来る、みたいなことを言っておいて、蓋を開けたらどこにもいない、という感じ。真剣に短波ラジオがほしいと思ってしまいましたよ。

余談はさておいてレースの結果ですが、カンパニーですか。8歳、旧の馬齢なら9歳での天皇賞制覇は快挙ですね。この馬は東京に向いていることは今更念を押すようなことではないのですが、それでもG1ではもうひとつ足らないレースが続いていただけに、この勝利は陣営には格別だったのではないでしょうか。

期待したキャプテントゥーレにとっては厳しい流れでした。この馬に限らず先行した馬が軒並み脚勢を失っているように、前の馬には息の入らない難しいレースだったと思います。一方、シンゲンやオウケンブルースリは完全に力負けで、ここまでのスピード競馬に対応できるタイプではないようですね。

ウオッカは引退も示唆という話が出ていますが、決して衰えたとは感じないんですけどね。ただし距離延長はプラスとは思えないので、右回りに活路を求めてマイルチャンピオンシップに向かってはどうかと、個人的には考えます。

馬券的には2着のスクリーンヒーローが買えずにペケでした。やはり最後はオカルトでも何でも乗っかっておかないとだめなんですかね。いやはや。

天皇賞でひとつ気になったのは、今年も昨年と同じ1分57秒2という時計が出たという点です。コース替わりの影響もあるでしょうが、ローラーでもかけたんでしょうか。いかにも速いというか、速過ぎる気がします。JRAが高速馬場を得意とするウオッカのために用意した舞台、とかいう下種な勘繰りをしたくなるところですが、それがウオッカだけに有利な訳ではないですしね…。真相は分かりませんが、馬のためには良くないんじゃないかなと感じるところです。

来週はG1はお休みなので一息、と言いたいところですが、明日はJBCです。本当は名古屋に行こうと思っていたのですが、私の周囲の人たちは私ほど競馬が好きではないらしく、1人で行くのはさみしいので断念してしまいました。なので、久しぶりにSPATを使おうと思っています。

| | コメント (0)

2008.12.11

ジャパンカップをまとめて振り返る

すっかり遅くなってしまいましたが、芝ダート両方のジャパンカップを簡単に振り返っておこうと思います。

20081130c

東京10R ジャパンカップ
1着-16.スクリーンヒーロー
2着▲09.ディープスカイ
3着△04.ウオッカ

5着◎01.オウケンブルースリ
6着△02.メイショウサムソン
8着○15.アサクサキングス
9着△06.パープルムーン
10着☆08.トーホウアラン

展開は特に引っ張る馬がいなかったこともあってスローに流れ、ウオッカ辺りはかなり行きたがっていたように見えました。直線上がりの競馬で外に持ち出したディープスカイが満を持して差し切る勢いと思いきや、先に抜け出したスクリーンヒーローがしぶとく粘ってディープスカイを退けました。3着にはウオッカが粘り、東京は不得手と思われたマツリダゴッホが4着。

スクリーンヒーロー、というかデムーロ騎手にしてやられたレースだったような気がします。外枠ながらスンナリと好位置につけると、直線では馬場の一番いいところを早めに抜け出すという堂々とした競馬。ディープスカイに脚色で劣るかと思われたものの、ゴール前ではもう一度突き放しました。結局は回った位置の差と道中の位置取りの差だったのかもしれませんが、強い競馬でした。次は有馬記念を使うようですが、これで中山でも強さを見せるようなら本物かも知れません。

本命に推したオウケンブルースリは5着。直線は少し行き場をなくすようなところもありましたが、経験の差というか身の入り方の違いというか、このメンバーに入るとまだまだ若いなというところを随所に見せてしまいました。それでも5着と掲示板に踏みとどまったのは力の証とも言えますが、菊花賞の力強い末脚を見た後では少し物足りない感じでしたかね…。先がある馬なので温かく見守っていこうと思います。対抗のアサクサキングスは状態は確実に良くなっていたように見えましたが、いきっぷりはもうひとつだったように思います。瞬発力勝負は向かないだけに先行策が理想だったのですが、位置取りが難しくなってしまいました。

個人的にはこのレースこそ強い馬たちがガチンコで争うようなレースを期待していただけに、伏兵の一発は正直複雑な気持ちになりましたが、今後はスクリーンヒーローに出世してもらうしかないですかね。馬券もさっぱりでしたし、ちょっと盛り上がらない感じのジャパンカップでした。

20081207c

阪神11R ジャパンカップダート
1着▲10.カネヒキリ
2着△05.メイショウトウコン
3着◎06.ヴァーミリアン

4着△03.サンライズバッカス
5着△12.ブルーコンコルド
6着○11.カジノドライヴ
8着△07.サクセスブロッケン

カネヒキリが奇跡の復活劇でこのレース3年ぶりの勝利を挙げました。2着には後方から大外を回って急襲したメイショウトウコンが入り、1番人気のヴァーミリアンはわずかに及ばずの3着でした。6歳世代と3歳世代の対決が戦前に話題を集めましたが、上位には6歳馬がズラリと並ぶ結果となりました。3歳最先着は6着のカジノドライヴ。

勝ったカネヒキリはうまく先行馬群に潜り込むと、直線では逃げたサクセスブロッケンの外からスルッと抜け出してそのまま逃げ込み体勢。いつものように後方からまくってきたメイショウトウコンと、一緒に並んで追い込んできたヴァーミリアンに急追を受けるものの、アタマ差残して勝利。2年4ヶ月ぶりの休養明けを一度叩いての2戦目でこの大仕事は並大抵のことではない離れ業で、現役王者ヴァーミリアンを封じ込んで復権を果たしました。うまく立ち回ったルメール騎手の騎乗もさることながら、屈腱炎からの復帰に尽力した関係者の努力の勝利という気がします。

2着メイショウトウコンは惜しい競馬でしたが、阪神コースに替わって確実に恩恵を受けました。東京2100mの頃はペースが緩みにくく追い込みは届かない競馬が多かったのですが、今回は後ろからでも届く競馬になりました。最終的には外を回った分が響いた感じですが、力は十分アピールしたと思います。まだまだ衰える年ではないですね。

1番人気のヴァーミリアンは、スタートで不利もあって後ろからの競馬。直線に向いても手ごたえは今ひとつで、これは惨敗もあるのかとさえ思わせたのですが、そこはさすがに第一人者らしく脚を使いました。結局序盤で流れに乗れなかった分が最後まで取り返せなかったように思いますし、乗り替わりは少なからず影響があったようにも思いますが、武豊騎手に手が戻る東京大賞典ではリベンジに挑んでくるでしょう。今度こそ「らしい」競馬を見せてくれると思います。

馬券的には無難に三連複を的中してプラス収支でしたが、本当はヴァーミリアンが2着なら…と悔しがるところだったんですよね。しかしよくよく買い目を見直してみると、なんと6-10を買わずに6-11を2点勝っているんです。これはもし2着が入れ替わっていたら悲しいことになっていたような…なんか最近買い間違いが多いんですよね。せっかく身銭を切るのだから、せめて思ってる通りに馬券を買わないと…。

| | コメント (0)

2008.11.28

外人騎手は要注意

月曜が休日だったということもありますが、なんかあっという間の1週間でした。マイルチャンピオンシップの回顧がなかなか書けないまま、気がついたら週末です。ということで遅ればせながらの更新です。

20081123cs

京都11R マイルチャンピオンシップ
1着-07.ブルーメンブラット
2着▲17.スーパーホーネット
3着-02.ファイングレイン

4着△16.カンパニー
5着◎01.ローレルゲレイロ
6着△09.マルカシェンク
8着△03.スズカフェニックス
13着△12.キストゥヘヴン
14着○13.サイレントプライド

レースはマイネルレーニアがハナを奪い、入りの3Fは34秒4とほぼ予想したとおりのペース。1000m通過も58秒を切るくらいのところで流れてくれたので、この展開ならローレルゲレイロは残せるかと思ったのですが…、外から伸びたスーパーホーネットに対して内から抜け出してきたブルーメンブラットが急襲し、3/4馬身交したところがゴールでした。スーパーホーネットは悲願達成ならず2年連続の2着、3着は春の短距離王ファイングレイン。

勝ったブルーメンブラットは内ラチ沿いでローレルゲレイロの後ろを追走し、直線半ばまで追い出しを我慢して終いに賭けるような競馬。これがズバッとはまりました。外を回って一旦は抜け出したスーパーホーネットとは上がり3Fは同じ33秒9でしたが、やはり回った位置取りの差、そして終い勝負に徹したのが最後の切れにつながったのだろうと思います。真っ向から消した馬にこれだけ鮮やかに勝たれると、お手上げです。

個人的にはメンバーからしてもう少し速い流れになると予想していて、後ろの馬はなし崩しに脚を使わされる展開になるだろうと考えていました。計算が狂った原因はコンゴウリキシオー、というか、ルメール騎手。抑えて味のあるタイプではないと思うんですがね…この馬が前に行けば、ハナは譲りたくないマイネルは必然的にペースアップするはずで、流れも速くなったと思います。前後半でコンマ1秒しか差の無いイーブンペースはスタートで脚を使った先行勢には一番厳しい展開で、それでいて5着に残ったローレルゲレイロはよく走っていると思います。

対抗に推したサイレントプライドがさっぱりでした。ダイワメジャーのような早い仕掛けの競馬をするだろうという予想通りの直線入り口での進出でしたが、直線半ばで既に馬群に飲み込まれました。国枝師は輸送競馬は難しい云々というコメントを出していましたが、これがこの馬の実力…ですかね。結論を言えば、スローペースの前残りでないと無理だったということでしょうか。

この秋のG1戦線はなんだかあだで取れる競馬が続いていたのですが、ここは完敗でした。今週はジャパンカップということで、気を取り直して頑張って予想します。

| | コメント (0)

2008.11.17

至極平穏な決着

20081116

京都11R エリザベス女王杯
1着▲16.リトルアマポーラ
2着◎15.カワカミプリンセス
3着-13.ベッラレイア

5着○01.レインダンス
6着△11.ムードインディゴ
7着△09.アルコセニョーラ
13着△08.エフティマイア

スタート直後のポルトフィーノ落馬で騒然とした雰囲気の中のレースとなりましたが、ルメール騎手鞍上のリトルアマポーラが圧倒的1番人気のカワカミプリンセスの追撃を抑え切って先着。クラシックでは果たせなかったG1勝利を古馬相手のここで成し遂げました。3着にはベッラレイアが入り、馬券的には平穏な結果となりました。

レースは大方の予想通りコスモプラチナがペースを握り、1000m通過は59秒3とやや早めのペース。しかし2番手以下は冷静で、先行勢は60秒台後半から61秒にかけてのタイムであったと推測されます。勝ったリトルアマポーラは春からの競馬が嘘のようにスムーズに先行して5番手につけると、4コーナー手前から仕掛けられて徐々に進出すると直線では早々と抜け出し、カワカミプリンセスを最後まで抜かせない強い競馬でした。うまくスタートがきれたこと、揉まれない外枠、そして早め早めに動いても衰えない末脚。状態の良さもさることながら、本来の実力が最大限引き出された騎乗が光ったと思います。

カワカミプリンセスは2年前の降着の汚名を雪ぐべく必勝体勢と思われましたが、きっちりマークして直線で捕まえに行ったリトルアマポーラを最後まで捕まえられませんでした。前走から一叩きされて状態は上向きと言われていましたが、当日のマイナス10キロは微妙に萎んでいたのかもしれません。冬毛が出ていたというルメール騎手の言葉もありましたが…それでもベッラレイアには抜かせない勝負根性はさすが、でした。そのベッラレイアは上位2頭に力負けの3着でしたが、力は出し切ったように思います。馬場がそれほど渋らなかったことは良かったのですが、後手後手に回ってしまったのが残念ではありました。

対抗に推したレインダンスは5着。内枠を利して内ラチ沿いを進み、直線でもしっかり伸びたのですが…前の3頭とは少し差がありましたか。ムードインディゴ、アルコセニョーラらの連下勢も良く走りましたが、馬券圏内までには少し差がありましたね。ムードインディゴはもう少し前に言った方が良いと思っていたんですが…。

馬券はある意味順当に馬連を的中しましたが、無印にしたベッラレイアが3着で三連馬券はまたもお預け。代わりに少しだけ買っておいたリトルアマポーラの単勝が利いて、この秋のG1で4勝目にしてようやく回収率200%超えを達成。もうひとつ爆発力がありませんが、この秋はなかなか好調…と思っておきます。

| | コメント (0)

2008.11.12

きれいに頭抜け

20081109

東京11R アルゼンチン共和国杯
1着-04.スクリーンヒーロー
2着◎14.ジャガーメイル
3着△10.アルナスライン

5着○11.ダンスアジョイ
6着▲07.ネヴァブション
7着△02.トウショウシロッコ
8着△16.キングアーサー

先行勢は入りの1100mで66秒のイーブンペースながら、縦長の展開で実質的にはスロー。中間も大きく緩むことはなく流れ、逃げた最軽量のテイエムプリキュアが逃げ込みを図るところに慌てて殺到する人気馬たち。結果的には上位3番人気までが逃げたテイエムをとらえて、人気とは逆の順に入線。今年は非常に平穏な結果に終わりました。勝ったスクリーンヒーローは、結果的には位置取りの差と斤量の差が大きく有利に働いたように思います。逃げた馬たちを見ながら5番手で進み、直線では内過ぎず外過ぎずの絶好の位置に持ち出して先に抜け出しを図ると、後続の急襲を退けての1着。蛯名騎手の好騎乗も光ったように思います。

本命に推したジャガーメイルは2着が精一杯でした。結果論ではありますが、位置取りが後方過ぎたことと直線勝負に賭けすぎたことが敗因のように感じます。前走は余裕を持ち過ぎて最後に無理矢理追い込んだようなレースでしたが、今回も似たような競馬で今回は届かなかった、というところでしょうか。力は確かなので東京であればいずれ順番が回ってくるような気もしますが、今回の騎乗は正直…少しがっかりでした。

対抗のダンスアジョイは5着。昨年の4着から1つ下げてしまいました。この馬的にはスタートで後手を踏んだのが全てで、直線ではメンバー最速の上がり3F32秒9という豪脚を披露しましたが、前にいたテイエムプリキュアが4着に粘るような展開では差し届くのは容易ではありませんでした。単穴のネヴァブションは6着で、結果を見た限りは休み明けの分でしょうか。次は変わってくると思いますし、恐らく中山の方が合っていると思います。

人気のアルナスラインはここでも3着に敗れて賞金加算に失敗。悲願であるジャパンカップへの出走は限りなく難しくなりました。瞬発力比べのような競馬は向かないのですが、それでもよく駆けているだけにここは痛い3着になりました。

馬券的には勝ち馬がきれいに抜けて惨敗。ジャガーメイルの軸はかなり自信がありましたが、せっかく2着に来ても相手が抜けでは…人気どころで唯一印を回さなかったスクリーンヒーローに勝たれては、お手上げです。

ちなみに京都のファンタジーステークス、13番人気のイナズマアマリリスはさすがに買えません。この日曜日は散々な結果でした。G1戦線が戻ってきますが、先行きに少し不安を感じます…。

| | コメント (0)

2008.10.28

潔さが裏目

20081026

京都11R 菊花賞
1着-14.オウケンブルースリ
2着◎01.フローテーション

3着-05.ナムラクレセント

4着△08.スマートギア
6着△15.ベンチャーナイン
18着▲02.ノットアローン

アグネススターチがペースを握ろうとしたところに掛かったノットアローンが絡んで、前半1000mは58秒8というハイペース。しかし1コーナーを過ぎて一気にペースダウンし、向こう正面では既に先行した2頭が馬群に飲み込まれる展開。2000mの通過は2分5秒5で、前の2頭以外はむしろスローの上がりの競馬となりそうな様相に。

予想通り残り800m前後から展開が動き始め、1番人気のオウケンブルースリが外から押し上げます。これを見るように追走する武豊スマートギアと安藤勝己ダイシンプラン。前は先行馬が沈んだところを内をついてマイネルチャールズ、中からナムラクレセントが足を伸ばしてきます。直線、外から抜け出しを図るオウケンブルースリに追いすがるスマートギア、内のマイネルは脚色一杯、ナムラが粘り腰を見せる。そこへフローテーションが馬群を割って鋭く伸びてゴール前で先頭に際どく迫るも、もう一度突き放したオウケンブルースリが1馬身1/4の差を付けての1着となりました。

勝ったオウケンブルースリは、勝負どころで自分から動いてそのまま押し切る強い内容。メンバーに恵まれたとはいえ、前走のトライアルで春の実績馬に迫ったのは伊達ではなかったということを証明しました。厳しいペースになれば最後の底力勝負がどうかという疑問と、口向きが悪そうで右回りに対する不安を感じていたのですが、そんなものは全然関係なかったですね。次はジャパンカップを目指すということで、ダービー馬ディープスカイや古馬一線級との対決が注目されます。

2着は本命に挙げたフローテーション。道中は折り合い一息で流れに乗り切れず、4コーナーでも少し窮屈になりかけました。結局直線だけの競馬であそこまで勝ち馬を追い詰めたのですから、もう少しスムーズに運べていれば…との思いもあるのですが、ここで変わり身を見せるという読みが当たっていたのである程度は満足しています。

3着のナムラは馬券的には拾いましたが、(前の2頭を除いて)先行した中では唯一馬券圏内に残ったということで、底力はありそうです。時計勝負になると分が悪いかもしれませんが、自己条件に戻れば威張れる存在でしょう。4着スマートギアはさすがは武豊という位置取りで一瞬オウケンと一騎打ちかとも思わせたのですが、最後に鈍ったあたりは距離の壁でしょうか。血統的に見ても中距離がベターと思いますので、今後重賞戦線でも期待が持てる1頭と思います。

ノットアローンは…あそこまで暴走してしまうとは考えてなかったので、今回は論外でしたね。いいペースで引っ張るのではと思っていたのですが、露払いにもなれなかった感じでした。

馬券的には人気馬を潔く消してしまったのが裏目に出てしまいました。1枠からの総流しで枠連を的中、しかもベンチャーナインが居るということで多少厚くしてはいましたが、代用品が1番人気ではいかんともし難いですね。フローテーションが頭まで突き抜けてくれていれば格好もついたのでしょうが…、ともあれこれで秋のG1は2つ目の的中(スプリンターズステークスはブログには投稿していませんが)ということで、白星先行です。

次週は注目の秋の天皇賞。日曜は淀に参戦の予定ですので、週日から気合を入れて予想したいと考えています。

| | コメント (0)

2008.10.22

大万馬券に唖然

20081019

京都11R 秋華賞
1着△04.ブラックエンブレム
2着-01.ムードインディゴ
3着-15.プロヴィナージュ

4着☆10.ブライティアパルス
5着△05.エフティマイア
7着▲03.ソーマジック
8着○17.レジネッタ
9着◎18.オディール
14着△06.レッドアゲート

スローと思われたペースは前半1000mが58秒6とどちらかというと前傾、ハイペースという意外な競馬になりました。ポイントはエアパスカルが思ったより出脚がつかなかったことと、思い切って行ったプロヴィナージュの存在でしょう。結果として若干競り合うような形になり、2ハロン目が10秒4とかなり速いです。ここが祟ったのか、エアパスカルは早々と後退して殿負けを喫しています。

勝ったブラックエンブレムは道中は中段やや前に構えて、前を見据える競馬。4コーナーも大きなロス無く回ると、直線では力強く伸びて後方から強襲したムードインディゴを半馬身抑えました。内枠の場合はいざ追い出したときに前が詰まることの多い京都の内回りですが、パトロールフィルムを見ると直線で岩田騎手の目の前はぽっかりと開けていました。持ち前のしぶとい末脚に加えて、こういう運も引き寄せて見事なレース振りで最後の一冠をものにしました。

本命に推したオディールは9着、対抗のレジネッタは8着。道中は中段で馬群が固まる中、外々を回って追走。コーナーも大外は回ったものの、2頭とも手応えは悪くないように見えたのですが…、最後は伸び脚一息で沈黙という結果に終わってしまいました。結果的には外を回ったロスが響いたのかも知れませんが、オディールとしては前が流れすぎて追走に脚を使ったことが、そしてレジネッタとしては微妙な仕掛けの早さが、最後に堪えたような気がします。

驚いたのは3着に逃げ粘ったプロヴィナージュ。関東オークス2着の実績はあるものの、ダートからの転戦で芝は過去に9着1回のみ。この馬が出走したことで血統馬のポルトフィーノが除外となったため、レース前には物議を醸しました。しかし結果は見せ場十分の3着で、走破時計1分58秒6も優秀。これと決めた時の佐藤哲三騎手は怖いのですが、今回はまさにその資質を存分に発揮したと思います。G1レースでの過去最高配当、三連単1000万超のサプライズを演出した立役者となりました。

馬券的にはしょっぱいことになりました(しかも馬連は買い間違えてました)が、これはこれで見応えのあるレースでした。しかしまあ、とんでもなく荒れましたね。次の菊花賞も本命不在の混戦ですから、また大きいのが出るかも知れません。

| | コメント (0)