アナログコラム

2009.11.13

血統の多様化を垣間見たBC

エリザベス女王杯の枠順が発表されましたが、注目のブエナビスタは外枠の16番。これであとは天候さえ何とかなれば(重馬場が不得手という証左はありませんが切れが活きるのは良馬場でしょう)軸としては堅そうでしょうか。同期のライバルのレッドディザイアはいませんし、古馬混交になって以降のエリザベス女王杯は得てして「復活」の舞台になっています。この馬にとっては前走降着の汚名を返上する絶好のチャンス到来、かもしれません。

先週アメリカでは第26回のブリーダーズカップが開催されましたが、クラシックで牡馬相手に快勝したゼニヤッタが話題をさらっていますね。これでデビューから負け無しの14連勝、しかも初めての一線級牡馬との勝負に勝ち、年度代表馬の称号をグッと引き寄せた感があります。本馬はこれで引退とのことですが、半姉のバランスもG1を3つ勝っている活躍馬と活力のある牝系ですから、子供にも期待したいところです。

こうやって海外の競馬に目を向けた時、ふと気がついたことがあります。例えばゼニヤッタの父は2002年のドバイワールドカップを勝ったストリートクライ。ターフを連覇したコンデュイットの父は2003年の凱旋門賞馬ダラカニ。このように若い種牡馬の子供たちが活躍しており、結果としていつの間にか世代交代が進んで血統地図が様変わりしつつあるのです。

個人的に競馬に興味を持った発端が「血統への興味」であったので、最初のうちは一生懸命血統を追いかけていました。リアルシャダイ産駒が1着から3着を独占した1995年の天皇賞春には言いようのない感動を覚え、現役晩年をリアルタイムで見ていたスプリント王・サクラバクシンオーの産駒たちがみな短距離で活躍している姿に納得して感心していました。しかし最近はやや興味が薄れてきており、疎くなりつつあります。

その理由は簡単で、サンデーサイレンスとその後継種牡馬たちが幅を利かせるようになった、ここ10年あまりの日本の血統情勢に虚しさのようなものを感じているからです。希少な存在だった父内国産馬の方が多くなってしまい、逆に輸入種牡馬の子供や外国産馬が少なくなってしまった今の構成は、馬産地としては良いのかもしれない(かどうかも定かではない)のですが、バラエティに富んでないというか「どこを切ってもサンデー」みたいな金太郎飴の如きイメージがあります。

確かに、そういう歴史の繰り返しであるのは洋の東西を問わない話ではあります。サラブレッドの血統上に大きな版図を広げた大種牡馬というのはいつの時代にも存在し、傍系の血は淘汰されていく運命にあります。しかしそれは盛衰の反復であり、隆盛を誇った血統にも必ず谷間がやって来て、その時は群雄割拠の戦国模様が繰り広げられます。日本は今なお大種牡馬サンデーサイレンスの余韻を引きずったままですが、世界の血統情勢は今まさに戦国時代に入っているように思います。

上に挙げたブリーダーズカップ・ターフの勝ち馬コンデュイットは、来年から日本で種牡馬入りすることが決まっているそうです。日本では活力が落ちて活躍馬が出なくなって久しいネヴァーベント系ですが、ヘイルトゥリーズンの系統を持たない血統構成の本馬は日本国内に数多くいるサンデーサイレンスやブライアンズタイムの肌馬とは相性が良さそうにも見えます。産駒から活躍馬が出てくることを期待したいですね。

ちなみに、今週のエリザベス女王杯に参戦してくるただ1頭の外国調教馬であるシャラナヤは、ニジンスキー系でも日本ではあまり馴染みのないロミタスの産駒です。日本の軽い芝への適応性が未知数で、馬券戦略的には取捨選択が難しい1頭です。例としては適当ではないかもしれませんが、このような血統の多様化の流れに追従していかないと血統から馬の特徴をイメージすることが難しくなっていくので、これを機に少し血統への興味を揺り戻していかなければならないかな、と感じる今日この頃です。

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2009.11.09

仲介者という名のグレーゾーン

この土日はG1の中休み、というか今年最後のG1の無い週末だった訳ですが、個人的には土曜日に燃え尽きてしまい日曜日は馬券オフの日となってしまいました。武蔵野ステークス、狙いは悪くなかったと思うんですがダイショウジェットが抜けてしまい、ハズレ。鉄砲のワイルドワンダーをしっかり拾っていただけに悔やまれます…。

週末にはエリザベス女王杯が控えますが、今日は騎手の話を少し書こうと思います。

今年の騎手リーディング争いは近年稀にみる接戦の様相でしたが、現在は関東の内田騎手がトップ。定位置キープを目指す武豊騎手との差は14鞍で、まだ安全圏とは言えないものの全国リーディングの影が少し見えて来た?という雰囲気。3位の岩田騎手はこの日曜に年間100勝に到達しましたが、2位の武騎手との差は18鞍。事実上上位二人の戦いという感じです。

ところで、かつては年間に200勝も挙げていた武豊騎手が近年振るわない(とは言いつつもリーディングなのですが)ことに疑問を持つファンは多いと思います。意外なほど人気薄の馬に騎乗していることもありますし、先日のスプリンターズステークスは珍しくG1の騎乗馬が無く阪神での騎乗でした。こういう流れはどこに端を発しているのでしょうか。

現在の中央競馬では、陣営(馬主や調教師)から騎手への騎乗依頼の過程において、それを仲介する通称「エージェント」と呼ばれる人の存在が公にされています。以前は騎乗依頼を仲介することは明示的に禁止されていましたが、80年代~90年代初頭にそれを仲介する人が現れ、長く黙認してきたJRAは近年になってその存在を明らかにしました。このエージェントの存在こそが、今のリーディング争いに大きな影響を及ぼしているのではないかと考えています。

エージェントは一部を除いて競馬専門紙の記者、つまりトラックマンが占めています。ゆえに、同じ新聞社のトラックマン同士で騎乗馬を都合しあったりすることが往々にしてあるようです。また、一部のトラックマンは複数(多い場合は4~5人かそれ以上)の騎手のエージェントを兼任し、その中で騎乗馬を回したりする例もあるそうです。このようなつながりは俗に「ライン」と呼ばれており、現在は関東では競馬研究や日刊競馬、関西では競馬ブックがその影響力を大きくしているようです。

先述の武騎手も当然専属のエージェントを抱えていますが、ラインは持たず独立した存在です。武騎手は当代のトップジョッキーですから、同じレースの騎乗依頼が重複するケースもあります。依頼する側からすれば、ギリギリの段階で他の馬を選ばれると代わりの騎手を用立てるのは容易ではなく、仕方なく下位の騎手に依頼することもあるようです。一方、複数の騎手を抱えるエージェントに依頼した場合は、もしA騎手の騎乗が無理でもB騎手ないしC騎手なら乗れる、という持ち回しが可能になるため、依頼側のリスクが小さくなります。従って、有力な騎手を複数抱えるラインには馬が集まるようになる訳です。

問題なのは、これらエージェントの役割をトラックマンが行っているという点です。競馬はギャンブルであり、不正は絶対に忌避しなければなりません。そのために騎手や調教師には厳しい規制がかかっていますが、それを取材する立場のトラックマンはいわば治外法権的なポジションにあり、トレセン内を自由に行き来してこのような活動を行っています。もちろん、そんなマネジメントの傍らで自分の仕事、つまり予想も行っているのです。これが認められる現在のシステムには、個人的には疑問を感じます。

確かに、武騎手も不惑を迎えて若い頃のような勢いはないのかもしれません。腰痛の持病を抱えているのも、騎乗数を抑えている要因かもしれません。しかし、そういうものとは別のパワーバランスによって現在のリーディング争いは「操作」されているような印象があります。一人の騎手が突出するよりは競争原理が働いた方が健全ではあるのですが、これが果たして健全なのか…?というモヤモヤ感があるのも事実です。

なお誤解の無いように補足をすると、現在リーディング首位の内田騎手のエージェントも単独(しかも新聞社所属ではないフリー)の方のようです。だからという訳ではありませんが、彼がリーディングを取る可能性について、含むところや他意はありません。

競馬を楽しむにあたっては「予想には様々な要素を検証すべき」とは思いますが、できればこういうドロドロした部分には触れずに楽しめた方がいいなあ、と思う今日この頃です。

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2009.11.06

G1を7勝でも必要とされない血

火曜日が休みだったせいか、今週は週末が来るのが随分早いように感じます。長年の習慣から「馬券を買う日=休日=週末」という潜在意識があるのだろうと思うので、火曜日にJBCの馬券を買ったというのも関係しているんでしょう。

もちろん地方競馬は週日にも開催されているのですが、普通の勤め人をやっている分にはなかなか馬券を買えないんですよね。ナイターの場合とかは大丈夫なんですが。

先日のJBCにも出走していたブルーコンコルドが競走馬登録を抹消されたようです。地方交流レースばかりとはいえ、G1を7つも勝ったこの馬の行き先は…乗馬。種牡馬入り出来ないんです。もっとも、種牡馬として需要があったのであれば9歳まで現役を続ける必要もなかっただろうと思いますから、これは既定路線だったのでしょう。それでも何か釈然としないモヤモヤ感が残ります。

かつては不遇を託った内国産種牡馬ですが、今ではリーディング上位の大半を占めるまでになりました。実は内国産種牡馬は余っている状況なんですね。需要の大半はやはりサンデーサイレンスの系統ですが、だからといってこれだけ実績のある馬が種牡馬として供用されないのは何故なのでしょうか。

これは素人考えなのですが、現在の日本国内の競馬、さしずめ中央競馬においては、芝至上主義がその偏重の度合いをどんどん増しているように思います。距離体系にもひずみが出ており、マイル~2000mに番組が集中する傾向が見てとれる気がします。この状況こそが、馬産地がブルーコンコルドのように地方のダートレースに実績が偏っている馬の血を必要としない一番の理由であろうと考えます。

例えば血統的にまったく歯牙にかからないという話であれば、そういう例は今昔問わず数多有ったと思います。零細血統ながら際立って活躍した馬の場合、その競走実績を買われて種牡馬入りしても産駒の成績は鳴かず飛ばずということが多いですから、当然ながら血脈の優位性というのは問われます。

しかしブルーコンコルドの場合、父はニジンスキー直系のフサイチコンコルドですから傍流と片付ける対象ではありません。実際、同じ父を持つバランスオブゲームは種牡馬入りを果たしています。母の父のブライアンズタイムがサンデーサイレンスと同じヘイルトゥリーズン系ですから、肌馬の選択肢は狭くなるかもしれないという危惧はありますが、だからといってそれだけを理由とするには少々合点がいかないところも感じます。

そうなれば即ち、この馬の競走実績と世の趨勢、即ち「生産者が求める馬づくり」という点において、この馬は必要とされなかった、そういうことになります。これはかなり切ない結論です。ならばダート競走なんてやめてしまえ、JBCと銘打ってなぜダートでやってるんだ、全部芝かポリトラックに張り替えればいいじゃないか、そんな風にすら考えてしまいます。

このようなケースは今回とりあげたブルーコンコルドの例に限りません。南半球最大のレースといわれるメルボルンカップを勝ったデルタブルースが乗馬となってあっさり去勢されたり、ツルマルボーイが産駒のデビューを待たずに種牡馬引退に追い込まれたりと、ダンスインザダーク産駒の不遇が目立ちます。これは偏に長距離血統が嫌われていることに他ならないと見えなくもなく、先に挙げたような偏重傾向を示す指標のひとつではないかと考えています。

もちろん、種牡馬の繋養にはたくさんの費用が必要です。それに馬産は趣味趣向ではなく産業であり、携わる人たちの生活を支えています。一人の競馬ファンがとやかく言ったところで、それでどうにかなるものではないというのも理解しています。ロマンだのドラマだのというきれいごとでは語れない部分があるのは事実です。

しかし、競馬ファンはかつて応援した馬の子供が出てくると感慨を覚えるものです。おそらく来年大挙してデビューするであろうディープインパクトの産駒を見て、彼の雄姿を髣髴させる人も多いでしょう。そうやって血を繋いでこそ、競馬は成り立っていくのだと思いたいのですが…。

ブルーコンコルドの今後が幸せであらんことを、祈るばかりです。

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2008.05.20

特別展「天馬」

奈良国立博物館で開催されている特別展「天馬」を見に行ってきました。コンセプトについては公式サイトの方を見ていただきたいのですが、古今東西の馬、特に翼を持つ天馬(ペガサス)に関する美術品や骨董品が集められており、馬好きの博物館好きとしては非常に楽しめる内容でした。

Tenma1 Tenma2

この展示にはJRAが協力しており、本展示とは別にJRAのコーナー「ターフを翔ける天馬たち」もあり、テイエムオペラオーやシンボリルドルフの勝負服や蹄鉄などが展示されていました。そこには様々な種類の蹄鉄や鞭、そして普段のレースで使われる馬具なども展示されていたのですが、それについてJRAの職員であろう係員の方にいろいろと説明をしていただきました。

たとえば、騎手が被っているヘルメットは有名なヘルメットメーカーであるアライ製で、素材は内側が発泡スチロールで外側はカンガルー革なのだそうです。また、斤量を調整するための錘(おもり)は平地レースと障害レースではつけるところが違う(より馬の負担にならないように工夫されている)そうで、実際の錘も展示されていました。こういう部分は知る人ぞ知る話だとは思うのですが、普段これだけ競馬をやっていてもなかなか知り得ないことなので、興味深い内容でした。

奥のブースには勝負服を着て撮影できるコーナー(勝負服はメイショウやタニノなど3種類)や京都競馬場のミニチュア模型なども展示されており、スペースこそ狭いものの競馬ファンにはなかなか愉しみ甲斐のある展示になっていました。本展示を先に見て回った後だったので、かなりおなかいっぱい感がある状態だったのですが、まさに別腹的に見ることができました。

この特別展は6月1日までの開催になっているので、お近くの方や興味のある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。ちなみに奈良国立博物館は奈良公園の中にありますので、周りは鹿だらけです。鹿と触れあって癒されてみるのも一興、です。

Shika1 Shika2

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2008.05.14

サドラーズウェルズの引退

日曜の早朝に海外から飛び込んだニュースに心を躍らせた競馬ファンも多かったと思いますが、北米に遠征しているカジノドライヴ(牡3、藤澤和雄厩舎)が当地のG2戦ピーターパンステークスを勝利しました。日本馬の海外遠征での勝利は昨年のシンガポール航空国際カップのシャドウゲイト以来になりますから、実に1年振りくらいの朗報ですね。次走は兄姉に次ぐ3連覇がかかったベルモントステークスになりますが、ここでもいいレースを期待したいところです。

私は以前から海外の競馬もわりとこまめに追っているつもりなのですが、今週ひとつ大きなニュースがありました。アイルランドで種牡馬として繋養されているサドラーズウェルズが、生殖能力の低下を理由に種牡馬を引退するとのことです。これは特に欧州の馬産界では大きな出来事として伝えられているのですが、ある意味「ひとつの時代の終焉」と言っても過言ではない大きなターニングポイントではないかと感じています。

かつて日本にもノーザンテースト、サンデーサイレンスといった大種牡馬が君臨した時代がありました。ともに日本の生産馬の血統分布を塗り替えたと言わしめるほどの影響力を発揮したわけですが、サドラーズウェルズはもしかしたらそれ以上に大きな存在だったかもしれません。英愛リーディングサイヤーに輝くこと実に14回、60頭以上のG1ホースを輩出してきた訳ですから、まさに時代の寵児であったと思います。

産駒はどちらかというと中長距離に強く、軽いスピード勝負よりも力を必要とする馬場を得意とすることが多いです。欧州の芝コースは一部の競馬場を除いてタフな馬場が多く、この特性が存分に生かされる土壌であったと言えると思います。逆に軽いスピードを要求される日本や北米では欧州ほど振るわないのですが、最近では母の父として活躍馬を多く輩出しているようにその影響が及ばないわけではありません。

長い種牡馬生活で輩出してきた産駒には後継種牡馬として活躍している馬も多く、欧州でガリレオやモンジュー、日本でもオペラハウスなどがいます。オペラハウスからはテイエムオペラオーやメイショウサムソンといった活躍馬が輩出されており、これからもサドラーズウェルズの血は広がり続けることと思います。既にリーディングサイヤーの座は明け渡しているので、日本でサンデーサイレンス亡き後に勃発したポストサンデー論争のような混乱は起き得ないかもしれませんが、一時代を築いた偉大な種牡馬として血統図には燦然と輝き続けるであろうと思います。

私は競馬はブラッドスポーツであり、血統なくして競馬は語れないと思っています。サドラーズウェルズの功績は末代まで語り継がれることでしょう。そしてその座を新しい種牡馬たちが争う。これこそが競馬を追いかける醍醐味のひとつではないでしょうか。

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2008.03.27

ドバイワールドカップデー

今年もドバイワールドカップデーが迫ってきました。海外の主要な国際競走の中では1年で最初に実施されるドバイミーティングは、本格的な競馬シーズンの幕開けを告げる一大イベントとしてすっかり定着しており、今年も日本から4頭が参戦します。昨年、一昨年と勝ち馬を出しているだけに今年も、と期待が膨らむところです。

Dubai

出走を予定している日本馬は、イイデケンシン(UAEダービー)、アドマイヤオーラ(ドバイデューティーフリー)、ウオッカ(同)、そしてヴァーミリアン(ドバイワールドカップ)。この中で私が最も期待しているのは、やはり日本馬初のワールドカップ制覇がかかるヴァーミリアンです。昨年は繰り上がっての4着も勝ち馬のInvasorには大きく離されましたが、日本国内でG1を4連勝して臨む今年は勝ちを意識しても良いのではないかと思っています。

強敵はやはり北米勢、特に前哨戦を圧勝した昨年のエクリプス賞年度代表馬・Curlinでしょう。泥んこ馬場のブリーダーズカップ・クラシックについては評価が分かれるところですし、ベルモントステークスでは牝馬のRags to Richesに敗れていることもあり、正直昨年のInvasorほどダントツに強いというイメージはなかったのですが、前走ジャガートロフィーでのパフォーマンスはその評価を改めざるを得ない内容でした。この馬に歯が立つか否かが最大のポイントでしょう。

日本馬はこれまでドバイワールドカップでは軒並み苦戦していますが、その主たる要因はナドアルシバの特徴的なダートにあるという説が一般的です。ドバイのダートは日本とは異質でパワーとスピードを要するため、日本国内のダートでのみ走っていた馬の場合は北米馬のスピードに劣ってしまう傾向にあります。

しかし芝に実績のある馬は比較的好走しており、日本馬で唯一ドバイのダートレースを勝利しているユートピア(2006年ゴドルフィンマイル)、及びワールドカップの過去最先着(2001年、2着)のトゥザヴィクトリーは、共に芝の重賞に勝ち鞍がありました。ヴァーミリアンも芝で重賞勝ちがあるので、ダート一辺倒の馬よりも少しは適性があるのではないでしょうか。

思えば第1回のライブリマウントから12年、いよいよその頂に手がかかる時が来たかもしれません。もちろん、デューティーフリー出走の2頭とイイデケンシンにも頑張ってもらいたいのですが、今回はヴァーミリアンに大きな期待を寄せたいと思っています。

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2008.03.12

なぜ専門紙を使うのか

突然ですが、私は週末のたびに競馬新聞を買います。スポーツ新聞は基本的にまったく使わず、常に専門紙です。数年前から競馬エイトを使っていますが、それ以前はホースニュース馬を愛用していました。そんな経緯から、先日のホースニュース休刊との報については少し思うところがあったので、専門紙についての思いの丈を少し書いてみます。

専門紙は確かに価格は高いです。スポーツ紙なら3部買ってお釣りがくる額です。しかしそこにはスポーツ紙にはない魅力が、少なくとも私にはあります。もちろん贔屓のトラックマンの予想を参考にしたり、詳細な調教時計のチェックをしたりできるという点もありますが、それはスポーツ紙でも可能ですし、逆にスポーツ紙のトラックマンの予想を贔屓にしている人もいるでしょうから、一概に専門紙が勝るとは言えません。

では、スポーツ紙にはない魅力とは何なのか。あくまで私個人の感覚でしかありませんが、やっぱり「競馬をしてるぞ」という雰囲気を一番感じることが出来るところです。何気なくお尻のポケットに突きさして、とかいうあのスタイルが好きなのです。スポーツ紙じゃ様にならないんですよ。それに、前日から買い込んで夜に予想したりとかいうのも朝刊のスポーツ紙では出来ない芸当です。ほんとに些細なことでなのですが、そこがスポーツ紙には鞍替えできない大きなポイントだったりします。

専門紙は一部を除いて経営が苦しくなっているそうです。スポーツ紙というライバルの存在だけでなく、ウェブ等で情報を得る「新聞レス派」が増えているそうです。確かにデータとしては必要なものが新聞無しでも手に入る時代です。専門紙というスタイルはなかなか受け入れられなくなって来ているのかもしれません。が、私は専門紙があり続ける限り買い続けたいと思っています。そこも競馬を競馬として楽しむ上で欠くことのできない部分なのですから…。

Shinbun1 Horsenews

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2008.03.10

サンアディユ急逝に思う

土曜日にオーシャンステークスに出走していたサンアディユが、栗東に戻った後の日曜日に心不全で亡くなってしまったそうです。今回はメディアでも報じられたとおり非常に後味の悪いトラブルがあった訳ですが、まさかこういうかたちで罰が当たるとは…サンアディユはまだまだこれからが期待されていた活躍馬ですから、関係者の心境たるやと思うと気の毒でなりません。

競馬というのは馬という生き物を扱う競技ですから、馬と人の信頼関係が大事なのは云うまでもありません。関係者が手塩にかけて育てた馬たちが走るレースで、あのような不手際があってはいけないと思います。売り上げ減ばかり気にしてないで、一度原点に立ち返るべきではないでしょうか。馬がいてこその競馬なのですから…JRAは今回の件を厳粛に受け止めてほしいと思います。

それにしても、サンアディユにしてもアドマイヤキッスにしてもそうですが「これから」という時に不慮の死を遂げてしまうケースが最近多い気がします。競馬はブラッドスポーツですから血がつながっていくことが大前提なわけで、活躍した馬が産駒を残すことなく世を去ってしまうのは損失以外の何ものでもありません。こういうシーンには出来るだけ出会わずに済めばいいのに、と願わずにはいられません。

20080308 アロド(3月8日阪神6R)

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2008.03.04

旅打ちの楽しさ

ここ数年来の趣味として、旅打ちというのがあります。もともと競馬が好き、だけどいつも同じところでやっているとちょっとマンネリを感じることもある。そんなきっかけで遠方の地方競馬場などに出かけていくことが時々あります。

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昨今の中央競馬の施設は競馬場もWINSも大変きれいになり、女性や子供も大勢見かけます。基本はギャンブルの場であり鉄火場であるはずですが、それを内に包含したテーマパークとして進化をしたいというJRAの意図が感じられるところです。しかし地方の競馬場は一部(南関など)を除けばまだまだ鉄火場の匂いが色濃く残っていて、それでいて素朴なところもある独特の雰囲気を醸しているところが多く存在していて、ふとそういう空気に触れたくなることがあります。経営的には決して芳しくない、閑古鳥が鳴いているようなところも少なくないのが現実ではあるのですが、そういう競馬場に少しでも貢献(?)したいという気持ちもあり、足を運んでいるという訳です。

先日何気なくグリーンチャンネルを見ていると、そんな郷愁が感じられるような番組がありました。それはアジア競馬の歩き方という番組。旅打ちを趣味とすることでファンにはおなじみの競馬ライター・須田鷹雄さんをナビゲーターとして、アジアの各地に存在する競馬場とその周辺の観光地などを紹介する番組なのですが、古き良き競馬(といっても私も所詮新参者なのですが)がそこにはあるというか、懐かしさに加えて一種の羨ましさを感じるシーンが盛りだくさんなのです。タイの競馬場など都会の中にあるのに泥臭さ満点で、かつて大阪球場跡にあったWINS難波のごとき空気がそこにはありました。

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行ったことのない競馬場の開拓はここしばらく叶っていませんが、また暖かくなったらどこかへ行きたいな、そんな気持ちにさせられる番組です。もし視聴可能であれば、一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。

うーん、次は金沢競馬場あたりを攻めてみようかな…。

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2008.02.28

逃げ馬が好きらしい

今週から開催が変わり、関西は京都から阪神に場所を移します。開幕週ということで前に行く馬が有利だろう、などと知人と会話していたのですが、その知人はどちらかというと後ろから直線一気に差してくる馬が好きなのだそうです。じゃあ自分はどのタイプの馬が好きなのだろうと考えてみたのですが、どちらかというと逃げ馬が好きらしいということに気がつきました。

競馬を始めた1994年頃に好きでよく買っていた馬として覚えているのは、エイシンワシントンです。短距離からマイルを中心に活躍した同馬ですが、同年のスプリンターズSでこの馬とサクラバクシンオーの馬連を買ったのが、G1レースで2度目に買った馬券でした(エイシンワシントンは4着)。1996年のマイルチャンピオンシップでは15番人気の低評価だったこの馬からほぼ総流しをかけ、直線に向いたところでの3馬身以上のリードを見て的中を確信、テレビの前で絶叫したものの惜しくも3着に敗れ精魂尽き果てたこともありました。特に中京の1200mを得意としており、高松宮杯がG1に昇格するのがもう少し早ければと思ったものでした。

では近年はどうだろうかと思い起こしてみると、ローエングリンがいました。この馬は3歳で宝塚記念を3着とした頃から気に入り、その軽快な逃げっぷりが好きで良く買っていました。一時期は暴走気味に逃げた挙句に最後は失速というレースが続いていたため少し見限りかけていたのですが、晩年に健脚が甦り8歳で中山記念を勝ったのは感動的でした。この時は残念ながら馬券が買えず、今でも心残りになっています。シングスピール産駒の良血馬で、社台SSで種牡馬入りできたのは非常にうれしく思っています。

今週は東西で3重賞が組まれているのですが、開幕週ということもあり先行馬に注目したいところです。昨年ローエングリンが勝った中山記念はチョウサンを、阪神のアーリントンカップは人気になるでしょうがポルトフィーノを狙ってみようと考えています。

20080228 ローエングリン(2003年天皇賞秋)
(遥々府中まで観戦に行くもこのときのローエングリンはゴーステディとやり合ってしまい13着に沈みました)

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